勝手な読書感想文

2009.10.17

分類思考の世界

学会が終わってから,会議に出たり講義をしたりしながら,学生と野外調査等の日程調整をしたり,いろいろな依頼やシゴトの日程調整をしつつ,科研費申請の下書きをしております…

 しかし,自分が代表で申請する分については,ここ数年の間に負け癖がついているので,どう書いてもダメな気がしてツライ……他の予算がある内に大きめの申請にチャレンジしようかとも思っていたけど,夏休みから学会前まで忙しすぎて,全然アイデアを練ったり,共同で申請できそうな人に連絡しなかったので,そっちは諦めて,ダメもとで個人レベルのを出します.

 月曜日が学内締切なので,一応,下書きまでは済ませたけど,自信がないなぁ.これがスランプってやつか…?


◆さて,そんな憂鬱な状態なので「逃げちゃダメだ,逃げちゃダメだ…」と某有名アニメの主人公のように内心つぶやきつつ,結局は時折気分転換に本を読んだりしておりました.

 で,学会前からぼちぼち読み進めていて,さっき読み終わったのが三中信宏さんの「分類思考の世界」.

 この「分類思考の世界」は,進化生物学に絡んでいる日本の研究者ならお馴染みの「種」はあるかないか論争についての三中京極堂の見解を記したものです.若い院生やポスドクは知らないかもしれませんが,EVOLVEのような進化生物学のメーリングリストで過去何度も「種論争」があったのですよ.みんな熱かったなぁ,あのころ(遠い目).

 このごろはほとんど国内での種論争はなくなりましたが,それは以前に議論に参加していたり,端で見ていた人達が,これは決着はつかない,ということに気付いて,それぞれのコミュニティに引っ込んでしまったからかなぁ,と,ボク個人は思っています.結局,自然物を整理するための便宜的ツールとしての「種」は必要ですが,生物学的には「あると思う人にはある」ような魍魎だということを納得できない人も多いのです.

 で,三中京極堂の結論は「この憑き物は落とせない.だからそのまま付き合うしかない」ということのようですね.

 そんなふうに割り切ってるせいか,三中さんがノリノリで書いてるっぽくて,本の内容が,かなり趣味に走ってる感じもします.「うわん」とか「魍魎」の絵を載せているあたりなんかは,すっかり京極夏彦風になってるし,本文とあんまり関係なく「もやしもん」のコマを2箇所も載せてますから悪のりしてるような気も…(ボクは,そういうの好きですけど)

 他にも哲学のいろいろも書いてありますが,その辺はボクにはさっぱり理解できないので(種は「個物」だとか「システム」だとか,全然イメージ出来ないッス),そういうのはわかる人がわかればいいのかな? ようするに,この本の重要な部分である「哲学」のところが,ちゃんと読めてないんですけど(汗)

 ちなみに,以前「系統樹思考の世界」も読んだのですが,系統樹思考の方が教科書くさい?かな? もっとマジメな感じだったような印象があります.

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2008.09.07

8月の読書感想文

いろいろと「宿題」が溜まっていて憂鬱な9月初旬ではありますが・・・

最近読んだものなどの感想を少しづつ書き残しておこうかな,と.

日本の外来魚ガイド

 図鑑なので「読む」というものではないのですが,国内移入魚も「外来魚」として扱った珍しい図鑑です.おかげで,普通の日本産淡水魚図鑑みたいに・・・それだけ,本来の自然というものが分からなくなってきているということですけど (´Д⊂グスン
 各国内移入魚の原産地とか移入先についての情報はもの足りないですが,2人の著者で既存の文献をもとに記述する限りはやむをえないところですね.日本産純淡水魚の自然分布域をDNAデータと博物館標本・文献を使って「すべて」明らかにするという作業が,プロジェクト的に必要かも.

現代語で読む「江戸怪談」傑作選

 たまたま本屋で見つけて買った本.江戸時代の怪談をいくつか集めたもので,非常に読みやすい現代語訳でした.古典怪談への導入的な本かな? それにしても恨みを抱いて死んだ人の怨霊の話は,本当に・・・ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ ホラーやオカルトでも肉体的な苦痛の話よりも恨み辛みの日本の怪談や怪奇話は,自分にとって最恐です.

遺伝子とDNAがよ〜くわかる本

 学生用に使えるかどうかと思って生協書籍部でたまたま見かけたものを購入.最新情報をカバーしてるし,内容的にも間違っていないし,読みやすいのは確かなのだけど・・・本当に表面をなぞっているだけのようで,深みがないので,学生たちに勧めるにはイマイチか.

マンガ 物理に強くなる

 「マンガでわかる○○」の類の本は数々あれど,この本はそうした類書の追随を許さない最高傑作だと思うgood.物理法則の公式を日常感覚とつなぎ合わせる説明も上手いですが,マンガとしてのメリハリも利いていて,実におもしろい!
 終盤への転換点でのヒロインとライバルの議論も,普通の読者はどう感じるか分からないけれど,とても鋭い言葉にドキッとしました.どちらも成績優秀でありながら,一方は天才・研究者タイプ,もう一方は努力家・優等生タイプ.どちらの主張も実は正しいのだけれど,天才肌の子にとっての勉強とは学問であって,理解することが楽しいからやることであり,努力肌の子にとっての勉強は試験や受験をクリアして他の目的を達成するための手段に過ぎない.
 ぼくはヒロインの子の主張に全面同意(というか,作中で出てくるセリフとほぼ同じことを自分が高校生や大学生のころに言ってたし,最近も学生相手に同じことを言ったかもしれない)なのだけれど,それは多くの人には理解されず,また反感を買うことすらあるというのもまた事実.単純にヒロインの理想論がうまくいくストーリーではなく,冷水を浴びせるかのごとく現実的な意見を真っ向からぶつける展開には,痛いところをつかれた気がしました.
 それと,もう一つ感動したのが最後の一般相対性理論の説明で,これまでにぼくが読んだことがある高校生向けの物理の本などでは特殊相対性理論は説明されていても一般相対性理論は扱われていなかったのですが,この本は一般相対性理論のみ扱っているのですよね.そして,その説明がじつにわかりやすい上に,主人公の男の子と女の子の2人の気持ちの接近とリンクさせた表現としても巧みで,どぎまぎしましたよ.
 こちらはマジでオススメの一冊かなhappy02


 他にも新たに買った本とか積ん読状態のものが大量にあるのだけれど,9月末までにどこまで読めるかなぁ・・・?


 ついでに,最近見終わったアニメ作品も感想を.

◆「ぼくらの

 テレビ放映の時は見ておらず,レンタルDVDでちょっとはまった作品なのですが,ようやく最終話までレンタルで見ることができました.
 なんつーか,最後の方は死を美化してるような感じがしないでもないのですが・・・話の途中までは死の恐怖と自分に課せられた重責の中で,自分なりに納得のいく理由を探す展開がすごかったなぁ,と思います.
 まぁ,それはともかく,最終話近くの回想で,主人公?の男の子が(義理の)父親に反抗したりするのに対して,その父がコミュニケーションをとろうとしていた場面なんかが,自分と親との間で最近あったやりとりに似ていて,ちょっと微妙な気分に(;´д`)トホホ…

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2008.01.05

冒険記

■本日のオシゴト
 いくつかの講演要旨の提出が迫っていたり,4月におこなうシンポの趣旨を早く書いて講演を依頼しなければならないので,今日も研究室に出てきて,せっせと書き物.その結果,要旨×2と趣旨文は完成.あと一つの要旨は火曜日締切なので,月曜まで寝かせることにしました.
 あとは,早く調べないと行けないサンプルのPCRもついでに・・・

■最近読んだ本【探険紀編】
 このごろ読んだ本の中で,研究と微妙に関係あったりなかったりするものとして,次の2冊がおもしろかったです.

怪魚ウモッカ格闘記-インドへの道 高野秀行 著

 ぼくはUMAが結構好きなのですが,最近は遠ざかってしまっていて新しいものには疎いので,魚系UMAのウモッカのことを全然知りませんでした.この本の著者の方については,昔々,ぼくが大学生だった時代に,早稲田大学の探検部がモケーレムベンベを探しに行くということを新聞で見たことがあって,その紀行文を書いた方という程度の認識だったのですが,今ではかなり何冊も著作のあるライターの方だったんですね.

 さて,それはともかく,インドの海岸で見つかったというサメのようなシーラカンスのような,背中に棘のたくさん生えた怪魚ウモッカなんですが,それを現地でがんばって探す冒険記なんだろうな・・・と思って読んでいたら・・・・

 いやぁ,確かにおもしろいわ! ホントにこういうことってあるだろうし,成功するばかりが冒険じゃないんですが,一気に,この失敗記を読んでしまいました.表紙や前半からは予想もしない展開です.(伏線は張ってあったけどね)


アフリカにょろり旅 青山潤 著

 個人的に知っている人の書いた冒険記って,なんとなく読むのに気が引けるところもあったのですが,これは最高におもしろかったです.正直言って,「ウモッカ」よりも上物です.「講談社エッセイ賞」を受賞したのはダテじゃないですね.しかし,このレベルの採集旅行は,青山さんと俊君だからできることであって,真似したらかなりの確率で死にますね・・・

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2007.10.29

読書(90年代小山田いく作品)

夏に実家で発掘して持ち帰ったマンガの中で,小山田いくさんの作品を少しずつ読破しました.

といっても,全作品を持ってるわけではなく,ほとんど90年代のものだけなのですが,あらためて良い作品だな〜と感心しました.

 とりあえず読んだのは,

・ウッドノート(全8巻)
・フォーナが走る(全4巻)
・合歓リポート(全1巻)
・ラスト・シーン(全1巻)
・迷い家ステーション(全5巻)
・風の宿(全8巻)
・むじな注意報(全5巻)

 この中で,「合歓」は持っていたつもりなのに本箱に入っておらず,「むじな」は3巻までしか買っていなかったので,それらは急遽アマゾンで買い足したのでありました・・・むじなの古本は高かったな・・・

 さて,その中で「ウッドノート」は以前も書きましたが高校のバードウォッチング部の話.

 「フォーナ」と「合歓」は環境問題を題材にしたアクションホラーとアクションじゃないホラー.15年以上前の作品なのに,小道具などが古くさくないのはさすがというべきか.特に,「フォーナ」は携帯電話っぽい小道具やネットっぽいものを使う描写があって,そうしたものがほとんど見られなかった時代に描かれた作品なのに違和感がないというところが驚きです.

 「ラスト・シーン」と「むじな注意報」は学園青春ものです.

 で,久しぶりに読み返して,もっとも良かったのが「迷い家ステーション」.

 第三セクター鉄道の終着駅に勤める30才くらいの駅員が主人公の,ある意味,と〜っても地味な話なんですが,すごく良いのです.コミックが出た当時は,ぼくも20代前半で,そんなに共感しなかったんですが,今この歳になって読むと,何ていうか,すごく心にしみるんですよ.ということで,現在ローカル線に乗りたい欲求が個人的に燃焼中です.

 あとは,「風の宿」も,奥さんの連れ子だった娘と一緒にバツイチで田舎に帰って動物診療所を開く32歳のオジサンの話なわけですが(よくまぁ,こんな話が少年チャンピオンに連載されてたもんだ),これもまた心にしみる話で・・・最終話が,ちょっと不安な終わり方なのですが,「むじな」でその後の状況がわかる話がでてくるので,そちらを読むと安心できますw

 いずれにしても,「迷い家」と「風の宿」はテレビドラマにしたらすごく良い感じになると思うなぁ.

 ただ,こうした作品群のほとんどは,今では本屋で手に入らないんですよね.ウッドノートは復刊したのが発売されているみたいですが,他のは出るのかな? 

 さて,そんなわけで手持ちの小山田作品は読み終えたので,ネットで見るとめっちゃ評価の高い「すくらっぷ・ブック」なんかの復刊本を購入して読もうかな,と思って,まずは1巻を購入.
 しかし,一冊¥2300円で4巻まであるのは高いなぁ・・・

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2007.09.24

新書2冊

最近読んだ本は少なめなのですが,こんな本を読みました.他には,ウォレスの「マレー諸島」をぼちぼち読み進め中.

パンダの死体はよみがえる

 いきなり強烈なゾウの解剖シーンで始まる本書ですが,形態学や標本の保管の重要性をわかりやすく書いてます.グールドの「パンダの親指」の時点でパンダの手についての知識が止まっている人は,本書を読んで知識を更新すべし.
 また,形態学LOVEの研究者の中には,アンチ分子系統とかアンチダーウィニズムの困った感じの人も時折いるのですが,この本の著者の遠藤秀紀さんは適切な理解をしているし,その上で形態学の難しい用語を控えて研究の現場を語っているのがとても興味深いです.

最高学府はバカだらけ 全入時代の大学「崖っぷち」事情

 帯の山田玲司さんの二コママンガがちょっと目を引く本書ですが,「はじめに」を立ち読みして,明快な論理と問題設定に興味を惹かれて買ってみました.

 これまでに「大学」を語った本としては,「東大教授の通信簿」とか「崖っぷち弱小大学物語」なんかを読んだことがあるのですけど,それらが大学教員や学長の語る自分の大学の話であるのに対して,本書は自称「大学ジャーナリスト」の著者がいろいろな大学の状況をまとめて俯瞰したものなので,傍目八目としてイイ線行ってると思いました.ただし,「超難関大」と日本中に大量に存在する私立文系大学の存在意義や経営についての話がメインなので,ぼくが勤めているような中規模国立大学の話は出てきません.一般論としては共通する部分も多いとは思いますが.

 ただし,本を読みやすくおもしろくするためのウソを織り交ぜているので,うそはうそであると見抜けない人には難しい本かも.でも,おもしろい本です.

 あ,そうそう.この本のおかげで静岡産業大学のサイトに山田玲司さんのウェブマンガがあるのを知ることが出来ました♪

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2007.09.04

ベストセラー本など

青春18切符で旅すると,電車の中でたくさん本が読めます♪ とりあえず,読んだ本の感想を記しておきます.

緑の読本 シリーズ77(Vol.43 No.10) 身近な外来種(II)—ほ乳類・鳥類・は虫類・両生類編

 外来種対策の事例集的な特集でしたが,自分は魚のことしか詳しくないので,他の動物の現状理解に,かなり役立ちました.特集のテーマとしては,今では普通ではありますが,執筆者の選び方などが良いのですね.

生物と無生物のあいだ

 ベストセラーらしいです.たしかに,おもしろいことはおもしろいのですが,個人的には肌に合わないですね.広告とか帯に文章が上手いと書かれていて,たしかにその通りなのですが・・・科学的成果やそれにまつわる人間模様は,それだけできわめて美味な素材なので,あまり飾り立てた表現をするのは調理法として好きじゃないということです.

 喩えていうなら・・・研究者が読むような原著論文は,掘り出した野菜や漁獲したばかりの魚に,ちょっと塩をふって食べるようなものなので,慣れない人には食べられないようなもの.啓蒙書や多くの一般書は,食材をそれなりに調理して食べさせてくれる食堂やレストランの料理.そして,この本は,かなり手を加えたフランス料理のようなものかな.

 クリームソースたっぷりのこってりしたフランス料理のようなバタ臭い風味があるので,そうした味覚に慣れた文学志向の強い人には,このくらいじゃないとおいしくないのかもしれませんけど,ぼくみたいな粗野なものにはおいしいとは思えませんでした.料理の腕は良いと思いますよ.自分とこで収穫した素材も使ってるし,三つ星級でしょうけど,ぼくは大衆食堂のメシの方が好きだということです.

深海生物の謎

 こちらは,先ほどの喩えでいうなら,かなり素材そのままに近い味わいの本.仕入れた食材の骨とか皮とかの食べにくいところをとりのぞいて,シンプルにお皿に盛りつけたような感じかな?
 新書サイズの解説付き図鑑といったところで,普段目にすることのない深海生物ツアーの疑似体験をさせてもらった感じです.首都圏の変わったいきもの好きの人は,これを読んで江ノ島水族館や三浦半島に行けば,かなり良いかも.

カワムツの夏

 長らく積み上げていた未読の本からチョイスしたのですが,夏の終わりにはぴったりな本でした.淡水魚に馴染みがないと,しっくり来ないかもしれませんけど,小さな川でのカワムツたちの物語です.
 ぼくなどの目から見れば無個性に見えるカワムツを個体識別してその振る舞いを記録しただけでもスゴイと思いますが,そこからカワムツ達の個性や生き様が見えてくるのは,とても興味深く楽しいです.

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2007.08.17

最近読んだ本

先日,東京に行ったときに往復で読んだ本について,ちょっとだけ感想を書いてみます.

遺伝子で探る人類史
 人類の起源についての分子系統・分子生態学的な知見をわかりやすくまとめた本.
 類人猿との関係や現生人類のアフリカ起原説についての説明は,分子系統学の発展の歴史を概観するような形になってます.著者は,現生人類のアフリカ単一起原説について,現在流布している考え方(約20万年前にアフリカから世界に広がった現生人類が,それ以前の人類と全く交雑せずに置き換わった)に対して批判的ですが,かなり丁寧かつ慎重に議論しているので説得力があるように思えます.
 現代人の地域差についての記述も,なかなかおもしろいのですが,ヨーロッパ人の複数遺伝子座の対立遺伝子頻度に基づく主成分分析の結果なんかは,あまりにも都合良くできすぎていて,元論文を見ないと信じがたいかも・・・
 ちなみに,しばらくまえに「イヴの7人の娘たち」という本の文庫版も読んだのですが,「イヴ」は自説をがっつり主張するいかにも欧米の研究者的な本なのに対して,「人類史」の方はすごく慎重で総合的に判断しようとしている感じです.

知られざる日本の恐竜文化
 これは・・・大いなる愚痴か?
 恐竜ビジネスの悪い面がたっぷり書かれているので,恐竜学以外の部分はとても興味深い内容です.ただ,研究そのものについての著者の感覚や未来像は,ちょっと違うなぁ,と思わずにはいられません.その辺は非研究者である著者の限界というところでしょうか.
 しかし, オタク話は,とても楽しめました♪ アメリカ古脊椎動物学会がコスプレイヤーの跋扈するコミケ化しているというのも,びっくりですけど,実学から遠いからこそ楽しめるというのは理解できるかも.

東京湾 魚の自然誌
 まじめな良書ですね.ネットを曳いて採れた仔稚魚を徹底的に調べていけば,総合的にその地域の海のことが見えてくるということが,よくわかります.学会発表や個別の論文を見ていたのでは全体像が見えてこないので,こうした本で,わかりやすく東京湾の仔稚魚研究のこれまでの成果と,目指すところを見せてもらえると,とてもおもしろいし,勉強になります.

■野性伝説1〜7
 戸川幸夫さん原作の矢口高雄さんのマンガですが,このシリーズの1〜3巻の「羆風」はトラウマ級の怖さです.以前,雑誌連載の時に,たまたま一番恐ろしい部分を読んだことがあって,久しぶりに読みたかったのですがアマゾンでは羆風の下巻が品切れだったので,東京の某大型書店で買った次第です.
 文庫サイズでは怖さも減少しますが,北海道開拓時代の最大のヒグマ被害の実話を描いた作品として,人間と野生動物との関係を考えたい人は必読かと.
 ただ,続けて4巻以降の他の話も読むと,矢口マンガは手塚マンガのようなアクター方式なので(ようするに同じキャラクターが,別の話でも他の役柄として出てくる),「羆風」で狂気にとらわれそうなほどの悲劇にあった人たちが,ほのぼのと出てきて,すごく違和感があるので,続けて全巻読破するのはオススメできません.

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2007.07.03

『外来種の生物地理学』

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 農文協の「生物科学」58巻4号が出来上がったのですが,今回の特集はボクの企画で「外来種の生物地理学」ということになってます.ホントはエルトンへのオマージュで「侵略の生物地理学」にしたかったのですが,どうも意味が違ってくるような気がしたので・・・.特集の意図は,一つめの総説のタイトル「DNAから見た外来種研究:どこまで“犯人”を追えるのか?」に込められています.

 なお,このブログの写真では,表紙のソウシチョウの写真に色をつけてみました.残念ながら印刷版は白黒写真しか載っていないので,せめてブログだけでも本来の色を,と思った次第です.カラー表紙版が売られることはありませんので,あしからず.

 まだ,農文協のサイトにはアップされていませんが,興味のある方は是非ご一読ください.農文協の購入申し込みフォームに「生物科学58巻4号外来種特集」と書けば,たぶん,受け付けてくれます.


<目次>

・巻頭言 生物の和名をめぐって(鈴木邦雄)

特集
・DNAから見た外来種研究:どこまで“犯人”を追えるのか?(向井貴彦)
・太平洋を渡った巻貝,ホソウミニナの移入経路の特定(三浦 収)
・海の向こうの“在来種”:モクズガニの地理的多様性の危機(山崎いずみ・渡邊精一)
・岐阜県周辺地域におけるオオクチバスの侵入と分布拡大パターン(土田陽介・佐藤千夏・向井貴彦)
・外来鳥類の定着に影響する要因とソウシチョウの現状(天野一葉)
・日本に持ち込まれた外来リス類の分子系統学的研究(押田龍雄)

一般原稿
・アゲハ幼虫の紋様形成とホルモンによる制御(二橋 亮)
・環境影響評価によるオオタカ保全の限界とそれに代わる個体群保全プラン(尾崎研一・遠藤孝一・工藤琢磨・河原孝行)

書評
・『南の島の自然誌』(評者 朝倉彰)


 この特集の原稿集めと自分の分の執筆(学生の卒論を投稿用に手直しするのも)で,年度末は忙しさ倍増だったんですよ・・・今度,何か特集を担当するときは年度末に忙しくならないようにしたいもんです・・・

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2006.12.04

11/27-12/3

さて,先週の出来事です.

11/27(月) 学生と一緒に実験とかしました.少し書き物しようとしたけれど,エンジンがかからず・・・
11/28(火) いつもの1限の動物生態学の講義と午後の研究室定例ゼミ.
11/29(水) 福井県小浜市までハゼ採り.ついでに福井県立大に立ち寄って,設備の充実ぶりに驚いてきました・・・
11/30(木) 午前中に関市に行って長良川魚類標本の琵琶湖博物館への移送の手伝い.実際は,作業が始まったところで3限の微分積分IIの講義をするために大学に戻ったので,作業は他の人任せ・・・心苦しいなぁ・・・オイラが微積の講義なんかやったって全然値打ちが無いのに,そのせいで他の意味ある仕事が手伝えないのはナンセンスだと思うのだよね.
12/1(金) 1限は環境保全論IIの講義.有明海諫早湾干拓問題の経緯を話したけど,農水省のやり方は最低であります.午後は伊自良湖の偵察.
12/2(土) 終日,伊自良湖で作業.
その結果は↓
岐阜新聞 中日新聞
12/3(日)昼頃起きたら腰痛で歩くのが大変でした・・・(w

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2006.11.29

マンガでわかる統計学・理系のためのプレゼンアイディア

比較的最近読んだ本ですが・・・


マンガでわかる統計学[因子分析編]

 このシリーズはお気に入りで,一通り読んでいるのだけれど,「統計学」の3作は最も良くできていると思います.この最新作も,因子分析や主成分分析についておおまかな理解をするには,かなりの優れものかと思いました.実は,ぼく自身が主成分分析とかよく分かってなかったんですが,ずいぶん理解が進みました.実践するにはもう少し難しい本も必要でしょうけど,最初の取っかかりとしては,かなり良いでしょうね.


理系のためのプレゼンアイディア

 大学生協で見かけて,なんとなく買ってみたんですが・・・・う〜ん,ぼちぼちかなぁ.
 ぼくなんかが本能的に?実践してきたことが書いてあるような感じですね.プレゼンに応用できるマルチメディアソフトの話はちょっと参考になったかも.ただ,ウケ狙いで書いてあるネタが男の子向けすぎるので,女子学生の多いうちの研究室では,学生にはすすめられないですな・・・

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