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August 2015

2015.08.26

アクアトト 「アフリカ進化の湖」 展!!

世界淡水魚園水族館アクア・トトが,2015年7月18日から12月13日までおこなっている企画展「アフリカ進化の湖」を見に行ってきました.

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 ま,正直に言うとシクリッドにはそれほど愛着も何もないのですが,一応は生態学者かつ魚類学者の端くれとして,アフリカ大地溝帯のシクリッドの進化研究における価値の高さ,これまでに明らかになった驚くべき知見,ビクトリア湖における外来魚と汚染による絶滅の問題,なんかは当然知っていたので,ちょっと見に行ってみるかくらいな感じで出かけたわけです.

 それが,行ってみるとすっごく良い展示でした!

 
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 アクアトトの企画展のスペースは比較的小さめなんですが,今回は狭さを感じさせないレイアウトで,タンガニイカ,マラウイ,ビクトリアの3つの湖ごとの水槽があります.


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まずはタンガニイカ湖.


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タンガニイカ湖水槽のメインは,上下に分けた二つの水槽です.入っているのは主にシクリッドですが,ナマズやトウゴロウイワシカダヤシ目の遊泳魚なんかも一緒に入っています.

 アクアトトには常設の大きなタンガニイカ水槽があるのですが,常設展には無い種類ばかりなので,とても新鮮.しかも,展示種数がすごく多い.

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一応,豆知識ですが,タンガニイカ湖は世界で2番目に起源が古い湖(約2000万年とか)で,生息するシクリッドたちも大きく系統が異なるものが集まっているため,形態的にも生態的にも最もバリエーションに富んでいます.


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次はマラウイ湖.

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 マラウイ湖は,シクリッドの種数が大地溝帯の3湖の中では最も多く,非常にカラフルで見た感じはすごく多様です.しかし,タンガニイカ・シクリッドには基質産卵型や口内保育型など多様な産卵・保育のシクリッドがいるのに対して,マラウイではすべてのシクリッドがマウスブルーダー(口内保育魚).

 これは,マラウイ湖のシクリッドが,一部のタンガニイカ・シクリッドに起源して多様化したため,その共通祖先の性質である口内保育を全ての種が引き継いでいるからだと考えられます.つまり,タンガニイカ湖のシクリッドたちの起源は数千万年も遡るけれど,マラウイ湖のシクリッドたち全部の共通祖先までは数百万年しかないわけです.
 そう思って見てみると,タンガニイカ湖水槽に比べて,確かに形態的には皆似ているような…


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そして最後はビクトリア湖.

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ビクトリア湖は約1万年前に干上がっているため,そこに住む数百種のシクリッドは,1万年前に干上がった後に侵入した一つの種から多様化したとされています.実際,遺伝的にはどの種もほとんど違いが無く,わずかな遺伝子の違いが食性や棲み場所,繁殖行動などの違いを生み出して,「別種」として成り立たせているとされています.

 展示されているビクトリアシクリッドを見ると,種ごとに色が違ったり,顔つきが違ったりしていますが,全体的な形はどれも似ているので,たしかにタンガニイカやマラウイと比べても起源が新しいのだろうな,という感じはします.

 それにしても,ビクトリア湖のシクリッドは実物を見る機会が少ないので,海外の教科書などに載っている派手な魚たちが実際にいるのを見るだけでも楽しいです.


 おそらく,これまでのアクアトトの企画展の中でも,この「アフリカ進化の湖」展で展示されている魚種数は,相当な数だと思います.しかも,知識がなくとも淡水魚らしからぬ色彩豊かな魚たちの水槽は,ずっと見てても飽きないくらい綺麗です.

 しかし.知識がある人が見たら,この凄さはハンパないと思います.大地溝帯の3湖のシクリッドを大量に集めて見比べることのできる機会なんて,めったにないので,全国の生態学者や進化学者は是非とも見にくるべき展示でしょう.

 アクアトトのブログ「おもしろ飼育日記」でも,この企画展のことはいろいろ書かれていて,そちらも見ておくとさらに興味がわきます.とくに,企画展示の裏側を紹介した「企画展「電気係り」がバックヤードをご紹介~「アフリカ進化の湖」日記 Vol.7~」とか,すごくいいですね.
 いずれにしても,予想をはるかに上回るおもしろさだったので,みなさんも機会があれば見に行ってみてくださいませ.

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2015.08.11

本を読む本

夏休みといえば,「読書」… なんていう人は,今どきあまりいないかもしれませんが,本屋に行くと○○フェアとかで文庫本なんかが平積みで広げてあるから,そういうのを見ると読書欲がそそられますよね.まぁ,そんなに読む時間は無いんですが.

 実際,今はものすごい大量の本が出版されていて,その中で個人が読める数などたかが知れているわけです.読むのが早い人ならまだしも,自分なんかは遅筆・遅読なので,ともすればすぐに情弱になりそうなんですけど,なにをやるのも遅いなりになんとか学者稼業が成り立っているという不思議(笑)

 それはともかく,このような無数に本がある中で少しでも効率よく良い本を探すためには,個人で片っ端から読むのではなく,仲間同士で本を紹介し合う方が効率が良い,ということで考案されたのが「ビブリオバトル」だったりします.

 ボク自身は普及委員会とかに入っているわけではないのですが,とりあえず大学に入学したばかりの新入生対象に開講される「初年次セミナー」を担当しているので,去年からビブリオバトルをやらせてみてますが,結構うまくいきます.今どきの子は本を読まない,みたいに言われてますが,まがりなりにも国立大学の学生ともなれば,本の一つや二つは紹介できるので,なかなか良いですね.

 さて,そんな感じで,今は「さまざまな本を知る」ということに需要があるのか,「本」や「読書」を主題とした小説やマンガ作品にもメジャーなものがでてきました.有名どころではテレビドラマにもなった「ビブリア古書堂の事件手帖」がありますし(余談ですが「薄暮のクロニクル」4巻に栞子さん(+大輔)が1コマだけ出てました),マンガだとモーニングに連載されていた「草子ブックガイド」とかあります.他にもボクが未読なものはいろいろあるようです.

 で,そういう中で,最近読んだのが山本弘さんの「BISビブリオバトル部」シリーズ.

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 内容的には,タイトル通り「ビブリオバトル部」の話.ノンフィクションなどいろいろなジャンルの本も扱われていますが,作者がSF,特撮のオタクの方なので,そっち方面の知識も大量に投入されてます.こういう本を読むと,そこで紹介されていた色々な本が読みたくなるので困りますね! 紹介されてた本の中で,今一番気になるのは「小説 仮面ライダークウガ」ですが(笑).(もちろん,もっとマジメな本も,たくさん,ちゃんと魅力的に紹介されてますよ)

 それと,本屋で見かけて買ったマンガの「バーナード嬢曰く。」

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 これも,すっごく好みの内容でした.主人公の町田さわ子(自称:バーナード嬢.実際は作中でそう呼ばれることはほとんどない)が,なるべく頭が良さそうに見える本を読んだことがあるように見せたがる話… のような感じなのだけど,周りのキャラとの掛け合いがおもしろい.そして,笑えるだけでなく,その中で各作品への鋭い考察が垣間見えて,非常に興味深かったです.

 個人的には,主人公のライバル?的なSFマニアの神林しおりが立てた『「難しいSF作品は書いた作者も理解していない」仮説』がツボでした(笑).自分が高校生の頃には,アーサー・C・クラークやジェームズ・P・ホーガンのハードSFを片っ端から読んだりしてましたが,よくわからないまま読んでた部分も多かったなぁ,という当時の感覚があるので,結構共感しました.(ただし,この本で難しい本の作者としてあがっているグレッグ・イーガンの邦訳は1999年くらいからなので,読んだことないです.クラークやホーガンなんか比べ物にならないほど難しいのかも)

 こういう本を読むと,古典,新作問わず広いジャンルの面白い本のことがわかるので,本当に良いですね.読んでなくても読んだような気になれるし!

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平成27年度ゴリ研究会無事終了

今さらの報告ではありますが,7月11日に開催したゴリ研究会,無事に終了いたしました.

御参加いただいた皆様,大変ありがとうございます.懇親会の酒,食べ物も喜んでいただけたようでなによりでした.


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うかいミュージアムが設置してくださった案内板
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会場の四阿.かなり景色がよくて,使い勝手も良いです.
使用予約が入っていない時は,無料で休憩場所として開放されているようです.
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会場入り口.


 主催者だったので,ほとんど写真をとる余裕も無かったのですが,まあこんな感じで.

 来年は,日本魚類学会年会を開催しなければならないのですが,そっちは超超超超めんどくさいので,どうしようかという感じです.ま,魚類学会年会の実行委員長はボクではないので,なるべく委員長に押し付けようとがんばってもらえるようにしようと思います.

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