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2013.12.31

今年秋頃以降に読んだ本

いろいろとシゴトが充実して忙しかった1年もようやく終わり.

魚類学会幹事の任期がこの12月で終わるし,今年度と来年度は卒業論文の指導をする必要が無いので,今のうちに論文を書いたりしなければなりません.

 さて,今年の秋ごろから読み終わった本がいろいろあるので,簡単なメモ程度の感想を残しておきます.

◆「科学者の卵たちに贈る言葉――江上不二夫が伝えたかったこと (岩波科学ライブラリー)」(岩波書店,2013年)

 生命科学者として著名だった江上不二夫さんの弟子による語録.同時代的に生きた生命科学者の人たちや,今でも分子生物学・生化学などにどっぷりつかっている人には感慨深いのかな…? 残念ながら,ボクはそんなには感動しませんでした.

◆「木曽谷の魚」(大衆書房,1954年.読んだのは1969年の復刻版)

 アジメドジョウの新種記載をした丹羽彌さんの本.50年くらい前の岐阜県では,魚の先生と言えば丹羽先生だったわけですが,この本は木曽川上流の主に長野県内の様子についての本.主に資料的な価値を求めて買ったのですが,一通り読むと丹羽先生の丁寧で正確な仕事ぶりが見えてきます.

◆「北海道 水辺の生き物の不思議」(北海道新聞社,2013年)

 北海道でのフィールドワークでわかったことがいろいろ読みやすく書かれています.ザリガニ,ゲンゴロウ,エゾサンショウウオ,水草,ヒブナ,そして外来種.ところどころ異論を言いたくなる部分もありますが,対象とする生物のチョイスが良いです.

◆「クマムシ博士の「最強生物」学講座: 私が愛した生きものたち」(新潮社,2013年)

 単なるクマムシマニアな本ではなく,紫外線・放射線・高温・乾燥などの極めて過酷な条件に絶えることのできる生物の細胞学的あるいは分子生物学的な機構についての知見を散りばめた,実に正当なサイエンスの本でした.

◆「孤独なバッタが群れるとき」(東海大学出版会,2012年)

 こちらはバッタに魅せられた前野・ウルド・浩太郎さんの本.研究者を志して,いろいろな経験を積みながらアフリカの大地へと旅立つ話.研究者を目指す学生には超・おススメの本.

※ちなみに,クマムシ本もバッタ本も,どちらも30代前半の若手研究者の熱い本です.ちょっと年上の自分から見ると,今の30代前半より若い生物学者は「自然の生き物のおもしろさ」を純粋に追い求めることが許される幸せな時代に研究者として育つことができたように見えます.今の40代以上の年代の生物学者が学生だった頃は,「日本の生物学における中世暗黒時代」とでも呼ぶべき「ナチュラルヒストリーの無い生物学」だったのですよ.ホントに.

その時代,細胞生物学,生化学,分子生物学などこそが生物学の本流とされて,野外のさまざまな動物を比較研究することがバカにされていた大学も多かったし,生態学の世界は今西思想に汚染されて科学から遠ざかり,21世紀の視点から見返せば,なんともヒドイ時代に思えます.(そうした中で,農学や水産学の中の実学として命をつないだ分類学,今西生態学の手の及ばぬ数理の世界で正当な進化の研究をしてきた遺伝学があるわけですが)

上述の江上語録が心に響かないのは,そうした「ナチュラルヒストリー無き生物学」の時代に主流だった方々の話だから共感しにくい気もするのですよね.

◆「読みがたり 岐阜のむかし話」(日本標準,2004年)

 基本的に昔話は好きだし,岐阜の自然の話をするときに歴史や民俗は大事なので,買って読んでみました.岐阜独自の話もいろいろあっておもしろかったのですが,全国的な昔話のアレンジと思われるものも結構あったので,本当に古くから伝わる地元の話ばかりでもないようでした.

◆「ビブリオバトル」(文春新書,2013年)

 1人5分の時間制限で,自分が面白いと思う本の紹介をする.そのときに紹介された本の中で,参加者が「最も読んでみたいと思った本」に投票する,というのがビブリオバトル.

 自分一人で面白い本を探すのは限界があるので,みんなで面白い本を紹介し合うというのが趣旨なのですが,参加者のプレゼン能力も上がるみたいですし,初年次セミナーとかのネタに良いかもしれないと思いました.

 ただ,この本ではビブリオバトルの効用ばかり強調されていて,ホントにそんなにうまくいくのかなぁ,と思ったり… ま,そのうち試しにやってみますかね.

 ちなみに,生物学系の人たちはビブリオというと腸炎ビブリオとかのVibrioをイメージすると思いますが,一般的なビブリオはビブリア古書堂の事件帖とかと共通するBiblioみたいです.

◆「増える変わる 生態系の行方」(信濃毎日新聞社,2013年)

 信濃毎日新聞の連載が本になったもの.写真がきれいで文章も読みやすい.シカの群れや,一面に広がる外来植物の写真とかは,かなりのインパクトがあります.

◆「就活のコノヤロー」(光文社新書,2013年)

 大学・就活ルポでたくさん本を出している石渡嶺司さんの新刊.この人の本は,なんだかよく買ってしまいます.読みやすいし.年々変わる大学生の就活事情の現在を小気味よくまとめています.大学のキャリアセンターとか,ホント,役に立たないよねー…

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