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2013.05.01

長良川のアユ遡上量と河口堰の影響

 2012年度に愛知県がおこなっていた「長良川河口堰最適運用検討委員会」の環境チームの委員として,ボクは委員会に参加していたのですが,そのときの環境チームのミッションは現在までにおこなわれた各種調査等の情報をまとめて,長良川河口堰によって,どのような影響があったのか,また,河口堰の開門調査によってどのような影響が見込まれるのかを検討する,というものでした.

 委員会は基本的に公開でおこなわれたので(チームごとの打ち合わせなどは除く),そのときに配布した資料の中で,2012年度のボクの担当分の「まとめ」となるものを公開しておきます.

「アユなど通し回遊魚への開門効果と環境変化の予想」をダウンロード

「ヨシ等の抽水植物群落への開門効果と環境変化の予想」をダウンロード

 さて,これまでの資料を検討すると,長良川で産卵したアユの仔魚は,ほぼ全滅していて再生産には全く寄与していないのではないか,という予測が出てきます.

 まさかそんな極端なことは……と,自分で資料を作りながら内心思っていたのですが,どうもそうではなく,実際に長良川のアユの産卵は次世代に全く寄与していないという考えが正しい気がしてきました.

 なぜかというと,昨年度は長良川でエドワディエラ・イクタルリによるアユの大量死が起きており,落ちアユの時期に岐阜市で採れるアユも非常に少なく,新村安雄さんが毎年おこなっている「アユの産卵を見る会」でも,まったく産卵が見られなかったくらいで,長良川で産卵できたアユの資源量は例年に比べても著しく少なかったと見られています.

 もちろん,滋賀県などと違ってアユの産卵数などの推定出来る調査はなされていませんから,正確なところはわかりませんが,ボク自身も岐阜市内の魚類調査として長良川に出て,2011年はそれなりに目についたアユが,2012年は全然見られなかったことを経験しています.

 それにもかかわらず,今年のアユの遡上量は順調との報道がなされています.

「長良川の天然鮎「多い」 県河川環境研、今年の遡上数予測」 岐阜新聞2013年5月1日

 ようするに長良川のアユの産卵数が多かろうと少なかろうと,遡上数に影響しない.つまり,長良川のアユの再生産がゼロであったとしても,全く関係ないという事になります.

 かつては木曽三川で長良川が最もアユの多い川だとされてきました.そして,長良川河口堰運用後,木曽三川全体でアユの漁獲量が減少しています.

 長良川のアユの仔魚が全て死滅しているとすれば,木曽三川(を主とした伊勢湾奥部の河川)全体でのアユの再生産の量は,その分だけ減少すると考えられます.そして,湾奥で育った仔稚魚が母川回帰せずに各川に上れば,長良川だけが漁獲が減るのではなく,全体的に漁獲が減ることになります.

 ということで,長良川において昨年の産卵親魚数が著しく少なかったにもかかわらず,今年のアユの遡上がそれなりに多いという事は,すなわち,河口堰の影響で長良川のアユの仔魚は全滅しているという仮説を支持するわけです.

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