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2012.05.15

岐阜県産魚類目録の再検討

昨年書いた論文が出版されて別刷を受け取りました.

P5151579


 

 日本国内にしてもなんにしても,その地域にどのような動植物がいるのか,というのは大切な情報です.歴史や文化は,その場所の自然環境によって成り立っていますし,ある種の生物が産業や観光等に有用であった場合は,生物資源・遺伝子資源(○○産の△△というのがブランドになるなら,それはその地域の遺伝子資源といえます)となるわけですから,潜在的な資源の一覧というのはとても大事なものです.また,絶滅のおそれがある種のリスト(レッドリスト)作成においても,適切な生物相のリストがなければ始まりません.

 さて,そういう重要な生物リストですが,充実している地方は少ないのが現実です.淡水魚は比較的研究されている方ですが県内で十分な調査地点を,確かな精度で調査されているかというと,疑問符のつく県も多いはずです.そのような状況で,都道府県版レッドリストなどは作られているわけですから,なるべく改善していくべきなのは言うまでもありません.

 岐阜県も適切な根拠に基づく魚類相についての文献はなく,行政などがおこなう環境調査も,証拠標本や証拠写真を残すという風習のないまま,採集された種のリストだけがまことしやかに作られていました.

 ということで,状況改善のために,まずは過去の文献をなるべく集めて,どのような魚種がいるとされてきたのかを集約し,次に博物館に登録された標本をチェックして,リストの種について証拠標本があるものを,確かな記録としていく作業をしました.

 もちろん,博物館に十分な標本が登録されているわけではなかったので,手持ちのものを新たに登録して証拠標本を追加していき,ようやくにして根拠のある「岐阜県産魚類目録」が完成したわけです.

 まだ,現時点でのとりまとめでしかないので,今後新たな標本や文献資料が出てきたら改訂していく必要がありますし,和名や学名の変更に伴う改訂も必要なので,毎年バージョンアップしたものを作成して公表するつもりですが,まずは地域で活動する様々な方々から新たな情報を提供していただくための基礎ができたというところです.

 最先端の科学とは程遠いのですが,地域の自然についての適切な情報を,ちゃんと提供するのは大事なことなので,結構手間をかけたんですよ,これでも(笑)

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