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May 2012

2012.05.16

ヒスイボウズハゼ

沖縄科学技術大学院大学の前田さんと共著で出した新種記載の論文が出版されたので,プレスリリースされました.

OIST研究者が沖縄の川で新種の魚を発見

 一応,前田さんらが発見したころから,DNAを調べたりして手伝ってきたので,共著者にいれていただいてますが,ボクが実物を見たことが無いのはここだけの話です(笑).でも,写真で見るだけでもきれいですよね~.

 ちなみに,記載に用いた模式標本(パラタイプ)のmtDNAの全塩基配列も決定して登録してあるので,他の研究者の方が類似したハゼを採集した場合,mtDNAのどの部分の塩基配列でもヒスイボウズハゼのパラタイプと比較できるという親切さ(笑).DNAバーコーディング時代にも対応した記載論文です.

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2012.05.15

岐阜県産魚類目録の再検討

昨年書いた論文が出版されて別刷を受け取りました.

P5151579


 

 日本国内にしてもなんにしても,その地域にどのような動植物がいるのか,というのは大切な情報です.歴史や文化は,その場所の自然環境によって成り立っていますし,ある種の生物が産業や観光等に有用であった場合は,生物資源・遺伝子資源(○○産の△△というのがブランドになるなら,それはその地域の遺伝子資源といえます)となるわけですから,潜在的な資源の一覧というのはとても大事なものです.また,絶滅のおそれがある種のリスト(レッドリスト)作成においても,適切な生物相のリストがなければ始まりません.

 さて,そういう重要な生物リストですが,充実している地方は少ないのが現実です.淡水魚は比較的研究されている方ですが県内で十分な調査地点を,確かな精度で調査されているかというと,疑問符のつく県も多いはずです.そのような状況で,都道府県版レッドリストなどは作られているわけですから,なるべく改善していくべきなのは言うまでもありません.

 岐阜県も適切な根拠に基づく魚類相についての文献はなく,行政などがおこなう環境調査も,証拠標本や証拠写真を残すという風習のないまま,採集された種のリストだけがまことしやかに作られていました.

 ということで,状況改善のために,まずは過去の文献をなるべく集めて,どのような魚種がいるとされてきたのかを集約し,次に博物館に登録された標本をチェックして,リストの種について証拠標本があるものを,確かな記録としていく作業をしました.

 もちろん,博物館に十分な標本が登録されているわけではなかったので,手持ちのものを新たに登録して証拠標本を追加していき,ようやくにして根拠のある「岐阜県産魚類目録」が完成したわけです.

 まだ,現時点でのとりまとめでしかないので,今後新たな標本や文献資料が出てきたら改訂していく必要がありますし,和名や学名の変更に伴う改訂も必要なので,毎年バージョンアップしたものを作成して公表するつもりですが,まずは地域で活動する様々な方々から新たな情報を提供していただくための基礎ができたというところです.

 最先端の科学とは程遠いのですが,地域の自然についての適切な情報を,ちゃんと提供するのは大事なことなので,結構手間をかけたんですよ,これでも(笑)

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2012.05.02

簡単にできる個体数調査法実習

◆今日は連休の合間の平日.

 しかし,担当講義を休講にする口実が無かったので,通常通りに「動物生態学」を開講.出席率が下がるだろうと思っていたのですが,案の定.

 そうは言っても,出席率の低い状況で,重要な内容を進めてしまうのも気が引けるので,事前に,ちょっとした実習のできる準備をしていました.

 例年,動物生態学の最初の方で,個体群生態学の応用として沖縄でのウリミバエ根絶事業の話をしています.その際に,個体数推定の方法についても解説しているのですが,今回はマーキング法(標識再捕法,ピーターセン法などとも言う)を,実際にやってみるようにしてみました.

以下,レシピ.

<準備するもの>

120502_094501


いりごま(黒,白) 各1袋

紙皿

爪楊枝

使い捨てコップ

小さなスプーン

 

<方法>

・学生たちに数名ずつのグループを作らせます.

・いりごま(白)を使い捨てコップに適量入れて,各グループに配ります.
(=調査対象の野外個体群に相当)

・コップのゴマを,スプーンで少量すくって皿に出して計数させます.
(=野外からの採集)

・取り出した白ゴマと同数の黒ゴマを用意させます.
(=採捕個体のマーキング)

・数を合わせた黒ゴマを,コップの中に入れます.
(=マーキング個体の放流)

・コップの中で,適当に混ぜ合わせます.

・コップから適当にスプーンで少量のゴマを取り出させます.
(再捕獲)

・取り出した白ゴマと黒ゴマをそれぞれ計数させます.

・数式に従って計算すれば,コップの中のゴマの数が推定できます.

 ここまでが,マーキング法のシミュレーション.

 そして,野生動物対象だと,推定値が正しいかどうか不明なのですが,これは実習なので,マーキング法がどの程度実際の数に近い推定をしているのか確認することができます.

<検証>

・コップの中のいりごまをすべて計数させます.

120502_094601

 つらそうに30分以上かけて数えていました(笑)

<結果>

120502_103001

 かなり単純な条件で,なおかつ十分なサンプル数のはずなのですが,それでも結構な誤差が生じますね.1グループだけ,やたらと精度が高いのが謎です.偶然?

 以上,お手軽にできるマーキング法の実習でした.

 

 

 

◆その他雑談の1.

 魚類学雑誌の最新号が届いていましたが,淡水魚関係で良くも悪くも興味深いものがイロイロ載ってました.とりあえず,こちらの地元で自然観察に関わるような皆さんのために記しておくと,

 岐阜三重愛知あたりの「シマドジョウ」は,標準和名「ニシシマドジョウ」

 「スジシマドジョウ小型種東海型」は,標準和名「トウカイコガタスジシマドジョウ」

だそうです.

 

 

◆その他雑談の2.

 愛知県から,某検討委員会の委嘱の連絡が来ていました.旅費・報償費の振込先を記入する紙も入っていましたが,同時に,それらを辞退するための書類もあったので,両方とも辞退しておきました.

 こんなところで,こういうことを書くのは,「良い人ぶって」「格好つけてる」みたいに思われるだろうことは重々承知なのですが,行政から金をもらって,お上に都合の良いことを言う「御用学者」を常日頃批判している身としては,そういう余計な金を受け取っていないことを示しておきたいのです.

 たとえば,国土交通省とか水資源機構から研究費を受け取って,その上で○○委員みたいな役職をもらって謝金や交通費を十分に受け取っている人が,「自分は御用学者ではない」と言ったところで,世間から見てどれほどの説得力があるでしょう?

 ま,単なるこだわりですけどね(笑)

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