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2011.12.22

自分たちの生きる世界

11月・12月は,なんとなく気に入って買っているコミック作品の新刊がいっぱい出たので,マンガばっかり買ってる気が… 「ヒストリエ」7巻,「アザゼルさん」7巻,MHP3rdアンソロジー4巻,「ヘルプマン」19巻,「害虫女子コスモポリタン」1巻,「進撃の巨人」6巻,「銀の匙」2巻,「西原理恵子の人生画力対決」3&4巻,「テルマエロマエ」4巻,「山賊ダイアリー」1巻.しかし,これだけ買っても,ちょっとお高い専門書1冊程度のお値段なんだよね(苦笑).
 
 ま,ボクのニッチな好みに合う新刊が,これほど集中することは稀なので,当分は新刊を買う必要はないでしょう.たぶん.
 
 
◆たくさん買った中で,ピックアップしたいのは週刊少年サンデーに連載中の荒川弘の「銀の匙」.
 メジャー誌の連載だし,「鋼の錬金術師」で有名な大御所のマンガなので有名な作品ですが,安定した面白さでとても良いです.映画化はいつですか? って感じ(笑)
 
 農業高校を舞台にした高校生の話なので,たくさんの登場人物がいるわけですが,それぞれのキャラがしっかりと安定すれば,もっと面白くなっていきそうです.ボクとしては,「スクラップブック」とか「ぶるうピーター」なんかも思い出してしまいますね.
 
 さて,作品としての面白さは各自で読んで確認していただくとして,北海道の農業高校なので,やはり農業の規模がでかいし,一次産業に力があります.食べ物として動物の命をいただくことについても,生活の一部としてちゃんと描いていて,そこに直面した非農家の主人公が悩んだり戸惑ったりする姿があります.
 
 そして,このマンガで描かれているように,農業・畜産業は自分たちが食べる以上の圧倒的な量の食糧を生産していて,実は都市住民はその余力によって生かされているわけです.現在の日本では都市部に大量の人口が集中していて,大都市だけでなく地方都市でも,就職希望の大学生などは皆が三次産業で楽して生活したいと思っているわけですが,そうしたことが可能なのは,一次産業による莫大な食糧生産があって,はじめてなりたっているわけです.
 
 さらにもう一歩考えを進めれば,そうした食糧生産の基本となるのは,周囲の自然環境なわけで,その地方の気候・風土にあわせた作物生産がおこなわれるわけです.化学肥料とか使いまくって,ボイラーに燃料つぎ込んでハウス栽培するという農業もあるわけですが,それにはやはり限界があるわけで…
 
 と,いうことで,自然環境の余力が,農業・漁業・畜産業を生かしていて,そうした一次産業の余力が都市住民を生かしている,ということに少しでも思い至れば,もっと謙虚に生きられるのではないかと思ったりするのですが… 
 
 
◆もう一つ,読み終わった本.
 
 「川と湖を見る・知る・探る  陸水学入門」日本陸水学会編.地人書館.(2011年)
 
 淡水生物の研究者であれば,既に知っている程度の内容が多いのですが,学部生~大学院生が淡水域の生態系の基本を知るためには有用な感じの本でした(しかし,¥2400円+税は学生には高すぎると思う).陸水学者は物質循環などを研究しているために,生態系を構成する個々のいきものへの愛が足りない方がしばしばいて,そのために水質さえ良ければ在来種なんていなくても外来種でかまわない,みたいな考えだったりするので,ちょっと警戒しつつ読んだんですが,そうした感覚は控えめにされていたので良かったです(ところどころに顔を出してますが).
 
 個人的には,第三部の「日本の陸水学史」が案外おもしろかったです.
 
 それと,第二部のトピック11「河川整備に住民の声を反映させるために」というところでは,元淀川水系流域委員会委員長の宮本博司氏が書いていますが,河川における大規模公共事業の問題について,多少なりとも知識と経験があると,ある意味非常に興味深いです.
 
 宮本氏は,「絶体絶命の淡水魚イタセンパラ」でも一章書いていて,河川行政の問題を指摘していますが,淀川水系流域委員会よりもずっと前,長良川河口堰の建設所長をしていた人物です.ですから,岐阜あたりで河口堰反対運動に関わってきた方々からは,一切信用されていません.
 
 ところが,イタセンパラ本でも,この陸水学本でも,宮本氏は河川行政のあり方を痛烈に批判しています.結論を変えようとしない役所が『「隠す」,「ごまかす」,「逃げる」,「うそをつく」』ことで住民の不信感を得ているとはっきり書いています.
 
 自分が何をしてきたかということには触れていません.触れるわけにはいかないのでしょう.しかし,あえて「誰が」やったを記さずに書いている役所の行動は,自身がおこなってきたことなのでしょう.

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