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2011.11.10

最近の読書感想文

 ここしばらくの出来事は,書く余裕がなかったので省略しまして,この半年くらいの間に読んだ本の感想をメモ程度に.
 最近,マンガばっかり読んでいたのですが,今回はそうじゃないものについて書き残しておきます(笑)
 
 
 
 
◆「長良川漁師口伝」 大橋亮一,大橋 修,磯貝政司 著.人間社.2010年.
 
 長良川で専業の川漁師として生きてこられた大橋兄弟の話を聞き取り,まとめられた本.兄の大橋亮一さんは長良川(特に河口堰問題の関連では)について語れる漁師としてテレビや新聞によく登場されてきた有名な方です.

 著者の磯貝さんが,長年にわたって大橋兄弟から聞き出したお話をまとめているのですが,実に上手に文章化しているので長良川の数十年間の変化が疑似体験できるような展開になっていて,かなりおもしろかったです.また,長良川だけが漁場なのかと思ったら,意外といろいろなところに出かけて,いろんなものを対象に採っておられたのが,また興味深いです.
 
 
◆「絶体絶命の淡水魚イタセンパラ」 日本魚類学会自然保護委員会 編.東海大学出版会.2011年.
 
 イタセンパラは日本の淡水魚の中で最も絶滅に近い淡水魚の一つで,天然記念物であり種の保存法の指定種でもあります.他にも絶滅に近い淡水魚はいますが,イタセンパラの自然下での保全は著しく難しい面があります.それは,イタセンパラが必要とするのが,上流から運ばれた砂が溜まった広く浅い大河川で,梅雨時や台風時期には増水するという「自然の川」だからです.
 本来ならば川というのは,上流の山が少しずつ削れて中流域には小石の川原が広がり,下流域には砂が堆積した広い河川敷をゆったりと流れているものでした.そして,雨が降れば増水して川幅が広がり,真夏や真冬の渇水期には水量が減って流れ幅が狭くなるものでした.このように書くと,なんとなく当たり前のことのように思うかもしれませんが,今の日本の川は,そのような自然の姿,自然のリズムから乖離しつつあります.その結果として,イタセンパラは「絶体絶命」の状態に陥っているわけです.
 日本中の川が自然の姿から遠ざかってしまったのは,水害を防ぐ(治水)ということと,水源の確保(利水)のためにひたすらダムを作ってきたことにあります.もちろん,防災は大事ですし,上水道の恩恵は普段から存分に受けているのですが,それでも行き過ぎた現状があります.ですから,この本はタナゴの一種であるイタセンパラを題材にしているものの,日本の河川のあり方,人と自然の折り合いの付け方を考えさせる内容になっています.
 
 
◆「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」 村井貴史,伊藤ふくお 著.北海道大学出版会.2011年.
 
 バッタなどの直翅類は,田んぼの周りや河川敷などを歩いているとたくさん見かけるので,詳しい図鑑が欲しいなぁ,と思っていたら,ついにこの夏出ました! 写真がきれいなので,見ているだけでも楽しいし,専門家でなくてもだいたい同定できる感じなので,とても良いです.
 まえがきにバッタの「かっこよさを伝えたい」と書かれていたのですが,生物の図鑑で,それってもっとも重要なポイントです.そう,かっこよさを伝えるんですよ! (大事なことなので二度言いましたw)
 
 
◆「夢十夜・草枕」 夏目漱石 著.集英社文庫.
 
 この夏,なんとなく手にとって,なんとなく買ってしまいました.
 
 
 こんな夢を見た.

 で,はじまる10の短編の夢十夜は有名ですが,本当に幻想的です.この作品へのオマージュ的な黒澤明の映画がありますが,ボクは映像化しないほうがいいような気がしました.
 
 
 山路を登りながら,こう考えた.
 智に働けば角が立つ.情に棹させば流される.意地を通せば窮屈だ.とかくに人の世は住みにくい.
 
 この草枕の冒頭も有名ですね.ボクの場合,漱石は中学の頃に「坊ちゃん」を読んで,高校時代には国語で習った「こころ」を読んだ程度という一般的日本人なのですが,それから20年以上を経て漱石の作品を読むと,あまりにも完成度の高い文章に感動します.
 なんというか,乳幼児の頃から重要文化財のお寺さんや仏像などをバス旅行なんかで見に行かされて,大して興味も無いから全然感動したことがなかった近畿地方の子どもが,大人になってよその土地で長年過ごした後に近畿地方の古い寺社仏閣を見ると,あまりのすばらしさに驚くような? そんな感じ?(笑)
 思わず,よくわからない喩えをしてしまいましたが,漱石の作品はいずれも冒頭の一文でいきなり心をつかんで引きずり込まれます.夢十夜にしても,最初の第一夜でいきなり心臓を直に握られるようなつかまれ方をしますから,これまで目にしてきた凡百の小説とは格が違います.
 ただ,草枕は主人公が芸術に長けた画家であって,あまりにも衒学的(といっていいのかな?)な文章が続くので,知性に欠けるボクには,ちょっと読むのがキツイ部分もありました.いちいち言葉を理解しようとせずに,単なる雰囲気作りのBGMのようなつもりで読み流せば,もっとテンポ良く読めたのかもしれませんが…
 
 あと,文学作品についてる「解説」って,なんでこう極端につまらないんでしょうね.まさに蛇足w
 
 
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 蛇足ついでに.
 
 最近,岐阜にいるゼミ生の一人が,夢を見た話をします.

 「先生に『勉強できない奴は出て行け』と言われて泣きながら研究室を出て行く夢を見た」
 
 「ゼミが終わって,先生が『また聞こえる』というので,何かと思って窓の外を見ると向かいのビルに白い服の女の人がいて『呪ってやる.呪ってやる』とつぶやいていた」
 
などなど.
 
 書いてるだけで怖いなw
 
 ていうか,ボクのキャラ設定がやばくないか?

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