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November 2011

2011.11.29

<予告>シンポジウム「よみがえれ長良川! よみがえれ伊勢湾!」(12月10日)

忘れないうちに宣伝しておきます.ボクもパネラーとして参加しますので.
もしお時間のある方で愛知・岐阜・三重あたりにお住まいの方は是非ご参加ください.
 
 
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12月10日(土)シンポジウム
『よみがえれ長良川!よみがえれ伊勢湾! ~長良川河口堰開門と生物多様性~』
          


            <シンポジウムのお知らせと協賛のお願い >

愛知県で長良川河口堰の検証が行われています。
河口堰の開門を願う私たちは、この検証を歓迎します。
堰が閉鎖されて16年。長良川の生態系は大きく傷つき、伊勢湾にも影響を及ぼしています。このシンポジウムは、昨年、生物多様性国際条約締約国会議COP10 を開催したこの地において、生態系の回復につながる長良川河口堰の開門をめざして取り組むものです。
 
                       記


 
日時:12月10日(土) PM 1:30~5:30
 会場:名古屋市 伏見ライフプラザ・鯱城ホール
           (地下鉄東山線・鶴舞線「伏見駅」下車6番出口南へ徒歩5分)
     *入場無料(資料代として500円のカンパをお願いします)
 
 
 
 
 ・挨拶  大村秀章   愛知県知事(予定) 
      河村たかし  名古屋市長(予定)
      近藤昭一   前環境副大臣    
      今本博健   長良川河口堰検証専門委員会共同座長 京都大学名誉教授
 
 ・連帯挨拶  陣内 隆之  有明海漁民・市民ネットワーク 
 ・トーク&ハーモニカ
        「長良川と私」 野田知佑 (カヌーイスト、作家)
 ・基調報告 「3.11を経験した今、長良川河口堰開門・生物多様性を考える」
        大沼淳一 (実行委員会代表、生命流域ネットワーク)   
 

 ~~~~~ シンポジウム 「長良川河口堰開門と生物多様性」 ~~~~~~
 
 コーディネータ 亀井 浩次 (藤前干潟を守る会)
 パネラー    大橋 亮一 (長良川漁師)              
        蔵治 光一郎(長良川河口堰検証PT・専門委員会委員
                 東京大学生態水文学研究所長)
        高山 進  (国連生物多様性の10年市民ネットワーク共同代表)
       向井 貴彦 (岐阜大学准教授・魚類学)      (50音順)
             

  主催:「よみがえれ長良川!よみがえれ伊勢湾!」実行委員会
        ホームページ http://yomigaere.net

  多数ある後援・協賛団体の一覧の最新版は↑でご覧ください.

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2011.11.27

リア充は参加できません!

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週末にG大の研究室に戻ると描いてあったw

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2011.11.25

魚類の新標準和名候補名の公表前流布行為の抑制に関する提言

標題は日本魚類学会からの提案.
詳しくはこちら →魚類の新標準和名候補名の公表前流布行為の抑制に関する提言 
 
 
 生きものの「名前」については,誰がどう呼ぼうと勝手といえば勝手なんですが,それでも意思疎通や商売においては,同じものは同じ名前で呼ばれたほうが良いです.というか,場合によっては絶対に必要.
 
 たとえば,食材となる生物について,地方ごとに呼び名が違うことがあります.「どんこ」といえば,西日本では川にすむハゼですが,東日本では沿岸にすむチゴダラ(エゾイソアイナメ)です(←この時点ですでに混乱しているw).ですから,東日本の人が西日本で「どんこが食べたい」と言うと,期待はずれのものが出てくることになります.もちろん,標準和名のドンコも,地方名でどんこといわれるハゼ類いろいろもそれぞれ美味なのですが,チゴダラとは全く違います.
 
 こういうことが,単に個人の経験や笑い話ですむなら良いのですが,産地偽装や商品偽装につながると大きな問題になります.本当は安価な原料を,名前を偽って高額で売るということがなされては行けないので,地方名は地方名として尊重しつつも,いざというときのために全国共通の標準和名もあったほうがよいわけです.
 
 また,食材でない場合でも,研究や自然観察の際に,同じ種類の生物を示す標準名は必要です.そのために世界共通の名前として学名があり,アルファベットになじみにくい日本国内用に標準和名があります.
 
 学名については,世界中のさまざまな文化の間で共通した運用ができるように,厳密に規約が作られて,命名の仕方や公表の仕方が定められています.

 標準和名は,あくまでも日本国内での話しなので,そこまで厳密な運用はなされてこなかったですし,一般市民に馴染みの薄い微小な生物などでは「和名がなければ学名を使えばいいじゃない」というマリー・アントワネット的な発想での運用がされていました.(パンがなければ…の言葉はマリー・アントワネットが言ったわけではないという話もありますが)
 
 しかし,大型の動物や魚類,昆虫類,維管束植物のようにアマチュアを含めた多くの人たちが関心のある生物については,皆で知識を共有して,自然についての理解を深めたほうが生産的でしょう.
 
 
 と,かなり長い前置きをしてしまったわけですが,要するに興味を持つ人の裾野が広い生物については,新発見をしたときに発見者が功名心をもとにネットやマスコミを通じて,とにかく新名称を発表したがる場合があります.そのときに,複数の人が別々の場で別の名前を公表して,それぞれ自分が発見者だ! と言っていては混乱するわけです.マンタ(オニイトマキエイ)として知られていた大型のエイが2種いることが判明した際に,ナンヨウマンタとリーフオニイトマキエイという名前が別々に提唱されていることなどは,そうした例です.
(それにしても,なんでリーフマンタとかナンヨウオニイトマキエイとかにしなかったんでしょう? あえて和語と洋語を混ぜるのだなぁ,と「マングローブゴマハゼ」とか言う和名をつけた自分が言ってみるw)
 
 
 また,インターネットや学会発表のみで「和名」を発表して先取権を主張するのも問題があります.その「和名」の対象となる生物が,実際は複数種を含んでいたことが判明したときなどに,厳密な記載と基準となる標本の指定がなければ,その「和名」が複数種のどれに該当するのかが特定できなくなります.
 
 ですから,標準和名も学名の運用に準じた形で,基準となる標本を指定した上で記載論文を適切な媒体(学会誌か専門的な学術書籍)で出版した時点で使用する,ということにしましょう,という話です.
 
 もちろん,人の口には戸が立てられない,というように,インターネットなどで自分の好きな名称を自由に使うことはかまわないのですが(というか,制限のしようがない),研究機関や水族館,博物館に所属する人(=学術的な発言に社会的責任の伴う人)の生物名の使用においては,充分に留意する必要があるということです.
 
 
 また,そうした研究者が留意することとして,他の人がつけた名称の使用だけでなく,自分自身がおこなう命名行為に対するモラルも必要です.
 
 つまり,

・学会発表の時点で新標準和名の提唱・使用はしない
・論文が印刷されて出版されるまでは和名を使わない,マスコミやネットで流布しない(受理の時点ではダメ)

ということです.

 学会発表だけして論文をいつまでも書かないのは論外としても(…書いてて自分が傷つくなぁ),もしも複数の名称が別々の学会誌に公表された際に,泥仕合をせずに一つの基準で標準和名を選択できるようにしましょう,ということです.
 
 功名心は,学問を進めるモチベーションとして重要ですが,研究者として重要なのは,個人の名誉ではなく,社会的な貢献なのだから,一刻も早く言いたくても我慢しましょう.というか,ボクも我慢してますsweat01

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2011.11.20

高機動型(黒い三連星仕様?)

ジオン公国のモビルスーツ「ザク」を知らない日本人はいないと思いますが,一般に知られている緑色の量産型はMS-06.シャア専用はMS-06Sです.(小学生のときのガンプラブームでプラモを買い集めた40歳前後の人は当然知ってるよね)
 
 約30年前のガンプラブームのおかげで,アニメに出てこないモビルスーツの設定が発展し,MSV(モビルスーツバリエーション)として定着したのですが(この辺になると話についてこれる人が激減するかも),比較的知名度があるのが高機動型ザクMS-06Rです.おもちゃ屋や大型電気店等のプラモコーナーで最も見かけるのはトリプルドムで有名な黒い三連星仕様という設定のものでしょうか.→これ 他にも高機動型シリーズはジョニー・ライデン機とかシン・マツナガ機とかもあります.
 
 なんでこういう話をだらだらと書いているかというと,ボクが昨年買った愛車のジュークについて,どう見ても高機動型ザクっぽいものが開発されたということで.
 
 
 日産 ジューク に GT-R のエンジンとドライブトレイン…車名公表
 
 
 ボクが乗っているのは最も初期の15RXなので,今販売されている15RX Type Vのようなバージョンナンバーが付いてませんから,Type Iということになるのかな? ………旧ザクでつか (´;ω;`)ウウ・・・
 
 いずれにしても,公式サイトを見るとターボとかUrban Selectionとか,バリエーションがいろいろ出ているのですが,エンジンは15RS/RXで1.5L,16GTで1.6Lと,あくまでもコンパクトカーなのに対して,ジューク-Rは3.8Lのエンジンなので,馬力が15RXの114PSに対して480PSと「通常の3倍」どころではない上に,外観的にも高速走行用にいろいろ変えるので,どうみても量産型ザクに対する高機動型ザクRの黒い三連星仕様にしか見えないというw →写真
 
 なんというか,日産ってロボット好きだよねw 昔あったデュアリスのCMとか,これとか.

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2011.11.18

エッセイ

世の中いろいろと腹立たしいこともあるわけですが,単に怒るのではなく,それならばどうすればよいか,というのを考えるのが重要です.
 
 ま,自戒をこめてなんとなく書いてみました(笑)
 
 
 さて,そういうことで,義務ではないけれどイロイロ労力を費やしていたりすることもありますが,義務的にやらねばならない書き物なども,あいかわらず溜まったままだったりします.
 
 その一つに,某市の自然環境基礎調査の成果を一般市民に還元? アピール? するために,そうした調査で得られた自然についてのいろいろな知識や経験を読み物として某新聞に連載してもらうという企画への原稿提出があります.
 
 もともとが地元の自然の魅力などを多くの人に知ってもらいたいという発案で始まっているので,無償で書くことは承知の上ではあったのですが,夏にいただいた依頼メールで「原稿料無しです!」とはっきり書かれていたのをみると,さすがに苦笑いせずにはいられませんでした.いや,いいんだけどさcoldsweats01
 
 ちなみにG大学から生物多様性関連の本が年内くらいに出るはずなんですが,そちらも原稿料無しで,なおかつ何十冊かの割り当て分を自分の研究費で買い取ることになっています.大学の先生の重要なシゴトである論文についても,論文を学会誌に載せると別刷り代などを支払うので,お金が出て行くことになります.
 
 と,いうことで,ボクの場合,論文を書いたり,新聞連載をしたり,本を出版したりしても,なんにも儲けてないんですよ~~~!!ということだけは声を大にしていいたい.たぶん,給料の中に,こういう社会貢献する分も含まれてるんでしょうけど.
 
 
 しかし,出版会がちゃんとしているT大とかK大とかH大とかだと,出版した本の印税がもらえたりします.一応,過去に分担執筆とか翻訳とかで印税のもらえる本を出したこともないわけではないので,東京にあるT大出版会から「UP」という出版会のPR誌が定期的に自宅に届いてたりもします.
 
 この「UP」という冊子は,地方大学の生協書籍部にもあると思うのですが,意外に面白い内容があったりします.特に不定期連載の「注文の多い雑文」は,なかなか笑える話が多いので好きな連載です.で,毎回目を通していると,なにやらその連載が本になって出ているらしいことがわかったので買ってみました.
 
 
◆「人生一般ニ相対論」 須藤靖著.東京大学出版会.2010年.
 
 新聞連載でウケルようなおもしろい雑文を書かなきゃなぁ,と思って,参考図書(?)として買ってみたのですが,楽しくてよかったです.でも,本に未収録の最近のUP掲載分の方が,さらに執筆のノリがよくなっているかも.気楽に読めるのですが,本体価格¥2400円は高すぎるかな~.1200円で売れば,もっと読者層が広がるんじゃないだろうか.
 ちなみに,著者の須藤先生は先日の連載で,UPの読者を「頼んだ覚えもないのに毎月送られてくるので仕方なしに目を通している人」みたいに書いてました.いや,たしかにボクなんかはその通りですけど(笑)

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2011.11.17

長良川河口堰開門調査関連ニュース

国交省委で批判相次ぐ 河口堰の開門求める報告書 (2011年11月15日中日新聞 愛知県版) 
 
長良川河口堰に関しては,国土交通省は「必要で環境影響は小さい」と是が非でもしておきたいわけなので,このような話が出てくるのは当然.
 ただし,記事の最後に書かれているように,愛知県の専門委員会では意見を言わずに,こそこそとお上におもねる御用学者ーズ.なんだかねぇ…
 
 
 
平成23年度 第1回中部地方ダム等管理フォローアップ委員会
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_followup/h23.htm

 
議事要旨 (=御用学者ーズのご意見)
http://www.cbr.mlit.go.jp/kawatomizu/dam_followup/pdf/h23_gijiyoushi.pdf
↑国土交通省は,これをもって「専門家の意見」と言い張るのですよ.
 
 
 保全生態学を志す若者は,国土交通省とは,こういう意見を採用して「専門的見地からのご意見」と称する役所だということを,よーく理解してほしいです.
 
 地方によっては,ちょっとした自然再生事業みたいなことも国土交通省がおこなっていますが,そうしたことを免罪符にさせてはいけないし,生態学の研究者に小銭を与えて飼いならすこともよくおこなわれてますが,もしも,そうして飼いならされて正論を言わなくなる研究者がいたら,それは「御用学者」の仲間です.
 保全関係の集まりでも,「若いのにすっかり飼いならされて…」と思えるようなヒトもいるのが悲しいような,馬鹿馬鹿しいような(苦笑)

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2011.11.16

秋の終わり

いつもながら毎週のようにいろいろ出かけてたりするのですが,写真のあるものを少し書いておこうかと.
 
 
 
◆11/4は岐大祭でかつ三重大祭だったので,人ごみの苦手なボクとしてはどちらも避けて和歌山の友人のところに遊びに研究会の打ち合わせなどに行ってきました.うちのオトモたちも大学祭に参加しない子達は,せっかくの機会なので同行.車だから交通費は一人でも三人でも一緒だしね.

 とりあえず行きに大阪で水道記念館に寄り道して見物.天然記念物で種の保存法対象種の某魚は繁殖期なのできれいな色をしてました.

 そのあと,和歌山県自然博物館に行ったわけですが,無理を言ってバックヤードの水槽にいるアレを見せてもらいました.
 
 
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 ニホンウナギじゃないんですよ~!! 日本で生体を見る機会なんて,ほとんどない種類です.環境省のレッドリストにも掲載されているのに市販の図鑑には全く載っていないコノ種類.水槽内でせっかく塩ビパイプに隠れてたのに,取り出して全身を拝ませていただきました.
 ニホンウナギとの違いは背鰭の始まる位置で,ずっと後ろのところから始まる短鰭型といわれるタイプです.文献的に見ても「ふ~ん」としか思わないけど,実物を見るとたしかに上半身と下半身のバランスが全然違って見えました.あとは,鼻の色が違うようです.
 
 いただいた特別展の冊子「うなQ」も,すごくよくできていたので,全部読みました.Kさん,ありがとう.
 
 そのあとは,Hさんに小さなステキハゼを見せてもらったりして堪能してから帰りました.よかったよかった.
 
 
◆11/13は岐阜県某市でいつものごとく外来魚駆除の池干し.
 まだ当分は密放流と駆除の闘いを続けるしかない感じ.釣り人の身勝手ここにきわまれり,と思わずにいられないのですが,連中もコストがかかっているはずなので,毎年駆除されていて文句を言ってくるのがいれば,それが犯人に近い人物なのは間違いないでしょう.
 
 
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採れたオオクチバス.毎年データを取っているので,いろいろ推測できることはあります.
 
 
◆昨日11/15は長良川へ.
 魚類相の調査ではありますが,ついでにアユでも採れれば…と目論んだものの,アユはほとんど採れず.
 アユ以外の魚影もすっかり減りました.気温は意外に高いけれど,もう秋も終わりですね…
 
 
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ドライスーツを着てスノーケリングしたんですが,寒かった.場所によってはオイカワなどの群れもいるんですけどね.
 
 
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アユは岐阜市内のやや下流のほうで産卵後に斃死したオスを2尾発見.メスも2尾採れたのですが,そちらも生きてはいたもののすでに産卵後.一ヶ月前には,産卵前のアユがものすごい数いたんですけど,もう季節は過ぎました.
 
 ちなみに,死んでいたオスは持ち帰って,学生と一緒に食べようかと思ったのですが,「おなかが痛くなったらどうするんですか(怒)」と言われたので,写真だけ撮って食べるのはやめておきました…
 
 

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2011.11.10

最近の読書感想文

 ここしばらくの出来事は,書く余裕がなかったので省略しまして,この半年くらいの間に読んだ本の感想をメモ程度に.
 最近,マンガばっかり読んでいたのですが,今回はそうじゃないものについて書き残しておきます(笑)
 
 
 
 
◆「長良川漁師口伝」 大橋亮一,大橋 修,磯貝政司 著.人間社.2010年.
 
 長良川で専業の川漁師として生きてこられた大橋兄弟の話を聞き取り,まとめられた本.兄の大橋亮一さんは長良川(特に河口堰問題の関連では)について語れる漁師としてテレビや新聞によく登場されてきた有名な方です.

 著者の磯貝さんが,長年にわたって大橋兄弟から聞き出したお話をまとめているのですが,実に上手に文章化しているので長良川の数十年間の変化が疑似体験できるような展開になっていて,かなりおもしろかったです.また,長良川だけが漁場なのかと思ったら,意外といろいろなところに出かけて,いろんなものを対象に採っておられたのが,また興味深いです.
 
 
◆「絶体絶命の淡水魚イタセンパラ」 日本魚類学会自然保護委員会 編.東海大学出版会.2011年.
 
 イタセンパラは日本の淡水魚の中で最も絶滅に近い淡水魚の一つで,天然記念物であり種の保存法の指定種でもあります.他にも絶滅に近い淡水魚はいますが,イタセンパラの自然下での保全は著しく難しい面があります.それは,イタセンパラが必要とするのが,上流から運ばれた砂が溜まった広く浅い大河川で,梅雨時や台風時期には増水するという「自然の川」だからです.
 本来ならば川というのは,上流の山が少しずつ削れて中流域には小石の川原が広がり,下流域には砂が堆積した広い河川敷をゆったりと流れているものでした.そして,雨が降れば増水して川幅が広がり,真夏や真冬の渇水期には水量が減って流れ幅が狭くなるものでした.このように書くと,なんとなく当たり前のことのように思うかもしれませんが,今の日本の川は,そのような自然の姿,自然のリズムから乖離しつつあります.その結果として,イタセンパラは「絶体絶命」の状態に陥っているわけです.
 日本中の川が自然の姿から遠ざかってしまったのは,水害を防ぐ(治水)ということと,水源の確保(利水)のためにひたすらダムを作ってきたことにあります.もちろん,防災は大事ですし,上水道の恩恵は普段から存分に受けているのですが,それでも行き過ぎた現状があります.ですから,この本はタナゴの一種であるイタセンパラを題材にしているものの,日本の河川のあり方,人と自然の折り合いの付け方を考えさせる内容になっています.
 
 
◆「バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑」 村井貴史,伊藤ふくお 著.北海道大学出版会.2011年.
 
 バッタなどの直翅類は,田んぼの周りや河川敷などを歩いているとたくさん見かけるので,詳しい図鑑が欲しいなぁ,と思っていたら,ついにこの夏出ました! 写真がきれいなので,見ているだけでも楽しいし,専門家でなくてもだいたい同定できる感じなので,とても良いです.
 まえがきにバッタの「かっこよさを伝えたい」と書かれていたのですが,生物の図鑑で,それってもっとも重要なポイントです.そう,かっこよさを伝えるんですよ! (大事なことなので二度言いましたw)
 
 
◆「夢十夜・草枕」 夏目漱石 著.集英社文庫.
 
 この夏,なんとなく手にとって,なんとなく買ってしまいました.
 
 
 こんな夢を見た.

 で,はじまる10の短編の夢十夜は有名ですが,本当に幻想的です.この作品へのオマージュ的な黒澤明の映画がありますが,ボクは映像化しないほうがいいような気がしました.
 
 
 山路を登りながら,こう考えた.
 智に働けば角が立つ.情に棹させば流される.意地を通せば窮屈だ.とかくに人の世は住みにくい.
 
 この草枕の冒頭も有名ですね.ボクの場合,漱石は中学の頃に「坊ちゃん」を読んで,高校時代には国語で習った「こころ」を読んだ程度という一般的日本人なのですが,それから20年以上を経て漱石の作品を読むと,あまりにも完成度の高い文章に感動します.
 なんというか,乳幼児の頃から重要文化財のお寺さんや仏像などをバス旅行なんかで見に行かされて,大して興味も無いから全然感動したことがなかった近畿地方の子どもが,大人になってよその土地で長年過ごした後に近畿地方の古い寺社仏閣を見ると,あまりのすばらしさに驚くような? そんな感じ?(笑)
 思わず,よくわからない喩えをしてしまいましたが,漱石の作品はいずれも冒頭の一文でいきなり心をつかんで引きずり込まれます.夢十夜にしても,最初の第一夜でいきなり心臓を直に握られるようなつかまれ方をしますから,これまで目にしてきた凡百の小説とは格が違います.
 ただ,草枕は主人公が芸術に長けた画家であって,あまりにも衒学的(といっていいのかな?)な文章が続くので,知性に欠けるボクには,ちょっと読むのがキツイ部分もありました.いちいち言葉を理解しようとせずに,単なる雰囲気作りのBGMのようなつもりで読み流せば,もっとテンポ良く読めたのかもしれませんが…
 
 あと,文学作品についてる「解説」って,なんでこう極端につまらないんでしょうね.まさに蛇足w
 
 
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 蛇足ついでに.
 
 最近,岐阜にいるゼミ生の一人が,夢を見た話をします.

 「先生に『勉強できない奴は出て行け』と言われて泣きながら研究室を出て行く夢を見た」
 
 「ゼミが終わって,先生が『また聞こえる』というので,何かと思って窓の外を見ると向かいのビルに白い服の女の人がいて『呪ってやる.呪ってやる』とつぶやいていた」
 
などなど.
 
 書いてるだけで怖いなw
 
 ていうか,ボクのキャラ設定がやばくないか?

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