« May 2010 | Main | July 2010 »

June 2010

2010.06.29

サツキマスのいた川

そういえば,先日の「市民による豊かな海づくり大会」の初日午後のバーベキューに参加していたところ,細身のやさしげな方が話しかけてくださいました.

 いろいろ話してみると,その方は写真家の田口茂男さんで,ボクとしては大学生の頃から山渓の図鑑などで田口さん撮影の写真を拝見してたものですから,すっかり感激しました.

 で,後日になって御著書を送ってくださいました!
 
 
P6223103


 
 
「サツキマスのいた川 ふしぎなきっぷを手に少年は過去の川へと旅だった」
 田口茂男 著  草土文化 1991年初版発行
 
 
 この本は未入手だったのでさっそく拝読しましたが,郡上八幡の自然と人が美しく,懐かしい雰囲気で描かれた物語でした.でも,これは1991年に出た本だから,もはや今は……と思って読むと,最後に2010年現在に生きる流域住民としては,すごく衝撃を受けます.
  
 
 ちなみに,この本の中には長良川感潮域の干潟の風景も出てきます.今の長良川しか知らない汽水魚研究者にとっては,その写真も激しくショックでした.
 めちゃめちゃ良い干潟ですよ,20年前の長良川下流域って…

| | TrackBack (0)

2010.06.26

「長良川下流域生物相調査報告書2010」発刊

長良川河口堰の運用前に長良川の自然環境を明らかにしておくために結成された「長良川下流域生物相調査団」の,報告書が完成しました.
 
 
Nagara2010
 
 
 1994年に出された「長良川下流域生物相調査報告書」は河口堰運用以前の自然環境を記録するものであり,今回の「2010」は河口堰運用後の現状を明らかにしたものです.
 
 報告書の内容は,次のページでダウンロードすることが出来ます.
 http://homepage2.nifty.com/PhD-mukai/nagara/

→現在はこちらからどうぞ

 http://dousui.org/seibutsu/index.html

もしくは

 http://www1.gifu-u.ac.jp/~tmukai/nagara/

 
<目次>

まえがき   山内克典
1. 河口堰上流の植生はどのように変化したか  千藤克彦*・後藤稔治
2. ヨシ群落の死滅と生存  山内克典*・古屋康則・足立 孝
3. 減少したオオヨシキリ  大塚之稔*
4. 長良川河口堰による魚類群集の変化 −汽水域生態系の消滅−  向井貴彦*・古屋康則
5. 河口堰がアユの生活史に与える影響    古屋康則
6. モニタリング資料と漁業統計から見た通し回遊魚の現況  足立 孝*・古屋康則・向井貴彦
7. カニ類は河口堰によってどんな影響を受けたか?  千藤克彦*・山内克典・伊東祐朔
8. 長良川河口堰上流におけるイトメの生息状況  籠橋数浩*・千藤克彦・古屋康則・長野浩文
9. 河口堰によるシジミ類の生息への影響  粕谷志郎*
10. 長良川河口堰上流部におけるマシジミの減少とその原因  山内克典*
11. 河口堰上流で集団発生したオオシロカゲロウ  千藤克彦*
12. 河口堰運用後のユスリカの増加とその後の減少  粕谷志郎*・五條貴久・可児真有美・小林 貞
13. 長良川河口堰下流部における底泥堆積と底生動物の変化  山内克典*・足立孝・古屋康則
14. 河口堰は内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の堆積場をつくる  粕谷志郎*・船越吾郎
(*:責任著者)
あとがき   伊東祐朔

◆内容的には,かなり充実しており,河口域・汽水域の保全に関心のある方は是非ご一読ください.

 冊子体をご希望の方は,岐阜大学地域科学部の向井貴彦までご連絡いただければ発送します.基本的に本体無料,送料無料です.

| | TrackBack (2)

2010.06.21

へしこ茶漬け

6/19(土)は,朝から高校生に講義.ほとんどの子が高1だったからDNA分子の構造とか,転写・翻訳とか知らないので,分子進化が基本知識として必要な分子系統地理のことをどこまでわかってもらえたかな?

6/20(日)は,県内某所の定期調査の予定が中止になったので,友人と某ハゼ種群を採集するために日本海側へ.幸いなことに雨は降らず,それらしき種類の幼魚もたくさん採れたのですが,分類に重要な成魚はすでにシーズンが過ぎていたようで…

 山際のよさそうなため池を地図で探していったら,バスギルに占領されていた上,車の前輪を縁石に乗り上げてパンクさせてしまったため,JAFを呼ぶことになりました… ま,車はしゃあないけど,外来魚はゆるせんなぁ.

 帰りは高速PAで「へしこ茶漬け」を食べてみました.
 
 
100620_185001

ごまと紅ショウガが合うんですね.とても美味でした.ただ,これで夕食とするには,あまりに物足りないので,結局他のSAでもメシを食ってしまいました(苦笑).

| | TrackBack (0)

2010.06.19

ため池にて

木曜日に市内のいろいろなところを廻る定期調査に行きました.

で,某釣り堀状態の池にて…
 
 
P6173089_2
やったー,市内でTOKAIのいる池がまた見つかった〜.
…と,思ったんですが,大量に採れたのを見てると,なんか不安になったので,数尾持ち帰って水槽へ.
 
 
2954
これって,BIWAだよね…

 どうしようか……

| | TrackBack (0)

2010.06.15

オキナワ

◆6/11-14は沖縄に行ってきました.
6/12と13にゴリ研究会があったからなんですが,参加者も多くて良かったですね.

 研究会後にサンプリングへと出かけて,採集クエストは無事に終了したんですが,道中でオオコウモリを見つけて,すっかりテンションが上がりました(笑)
 
 
P6133076
オリイオオコウモリなのかな?
 
 
 車を運転していたら,大きなコウモリがふわっと飛んできて木にとまったので,もう,ビックリです.すぐに車を止めて木に近づいても逃げなかったので,かろうじてこの程度の写真は撮れました.

 羽を広げると全然印象が変わるんですが,羽をたたんでいると,なんでこんな獣らしい,もふもふした動物が空を飛べるんだか不思議な感じがします.(写真だと伝わらないなぁ,あのもふもふした毛並みの雰囲気…)
 
 
◆6/15は,普通に出勤.溜まった仕事が多くてゲンナリ…

| | TrackBack (0)

2010.06.09

生物系統地理学 第2刷

2008年末に出版された翻訳書「生物系統地理学」が重刷されました.


 もともと,いろいろあって翻訳が充分でない箇所が残った状態での出版だったため,初版第1刷を購入された皆さんには大変申し訳ないんですが,そうした方々の犠牲(?)のおかげで,全編に渡って手を入れた第2刷ができたわけです.

 本来は監訳者の仕事なのを分かっていても,「直せる機会がある」と知っていながら何もしないのは我慢できなかったので,分をわきまえずに生物の日本語名の統一,学名しか書かれていない箇所への日本語名の挿入,明らかに読みづらい訳文の修正といったことを赤ペンで書き込みまくった初版第1刷を作成して,重刷時に使ってもらった次第です.

 たぶん,これで,かなり読みやすくなったはずです.(第2部は,もともとボクが担当して,かなりこだわって翻訳しておいたために,あんまり直してません)

◆たとえば…
2
↑第1刷
 
 
Photo
↑第2刷
 
 
 
 
◆それと,下訳のまま,載ってしまっていたようなところとか…
61_3
↑第1刷(クリックすると別ウインドウが開きます).
 
 
62_3
↑第2刷(クリックすると別ウインドウが開きます).途中の「……」は削除するように指定したんですが,なぜか残ってます.
 でも,だいぶん,マシになってるかとsweat01
(あらためてみると,さらにもう少し直したいな…)
 
 
 原文は次のようになってます.
Species are merely those strongly marked races or local forms which, when in contact, do not intermix, and when inhabiting distinct areas are .... incapable of producing a fertile hybrid offspring. But as the test of hybridity cannot be applied in one cases in ten thousand, and even if could be applied, would prove nothing, since it is founded on an assumption of the very question to be decided .... it will be evident that we have no means whatever of distinguishing so-called 「true species」from the several modes of [subspecific] variation .... into which they so often pass by an insensible series.
       -Alfred Russel Wallace, 1865
 
 
 流通のことはよく分からないので,今,書店で注文しても第1刷の在庫が届くかもしれません.確実に第2刷を入手する方法は,ボクにもよくわかりませんが,もし手に入れることができた幸運な方は,良い本なので是非,研究などに役立ててください.

| | TrackBack (0)

2010.06.08

市民による海づくり大会・長良川下流域生物相調査報告書2010

◆6/5(土)-6/6(日)の『市民による「豊かな海づくり大会」』は無事に終了.
 ボクは初日のイベントで講演した程度の貢献しかしてませんが,それなりに人も集まって良かったんじゃないかと思います.新聞各紙の地方版にも取り上げられていますが,詳しくは以下のブログを見ると良いかと.

徳山ダム建設中止を求める会事務局長ブログ(2010.6.7)
市民による「豊かな海づくり大会」-1
 
六文銭の部屋へようこそ!(2010.6.7)
長良川を殺さないで欲しい! 官製 vs 市民大会
 
 
 河口堰と海づくり大会に関しては,行政が河口堰問題を全力でスルーしつつ,「子供たちによる放流」などの,一見和やかで,それでいて何の意味も無いプロパガンダで誤魔化しているところに,おぞましさを感じずにはいられません.(子供を動員して誤魔化す,というのはファシズム国家の隠蔽の定番ですし 苦笑)
 
 そして,マスコミ各社でも,公のプロパガンダに協力せざるを得ないので,一方で河口堰問題を糾弾し,市民運動を支援しつつ,もう一方では「岐阜県による海づくり大会大成功」みたいに報道するのでしょう.自分が住んでいる場所ではありますが,「これ,どこの北朝鮮?」って感じです.
 もちろん,本当の軍事独裁国家なら,こんなことを書いたり,市民運動なんてもってのほかなので,その点ではマシなのですが…
 
 
◆長良川河口堰関連でもう一つ.
 6/6(日)には,長良川下流域生物相調査団による「長良川下流域生物相調査報告書 河口堰運用15年後の長良川」の出版について記者発表?を夕方におこないました.タイミングが悪かったのか,記者さんは一人だけでしたが,報告書を出した後のシンポなどについての話し合いもできたので,有意義ではありました.
 
 
P6083040

左が1994年に長良川河口堰が運用される前に出版したもの.右が2010年版.

 この報告書について,ボクは「調査団」に入っていたわけではないのですが,岐阜大学に職を得てからいろいろと関わっております.そんなわけで,一章書いた上で原稿の取りまとめやら校正やらいろいろ手伝っております.

 内容的には,実はかなりよくできた報告書です.

--------------------------------------------------
(2010.6.26追記)
下記サイトで報告書がダウンロードできるようにしました.
http://homepage2.nifty.com/PhD-mukai/nagara/
--------------------------------------------------
 
 
 長良川河口堰運用によって,汽水域の生態系が失われて貧相な川になっているのは,自然を見る目がある人なら一目瞭然なのですが(特に,比較可能な木曽川と揖斐川の汽水域が両側を平行して流れてますから),どのように違うのか,どう変化したのかを明確なデータで示しています.ヨシ帯の消失や,底生動物相の著しい貧弱化については,非常に実証的なアプローチもなされていて,ヘタな査読誌の論文よりも,はるかに優れています.(一応,各章の原稿を相互に査読しましたし.)


<目次>

まえがき   山内克典
1. 河口堰上流の植生はどのように変化したか  千藤克彦*・後藤稔治
2. ヨシ群落の死滅と生存  山内克典*・古屋康則・足立 孝
3. 減少したオオヨシキリ  大塚之稔*
4. 長良川河口堰による魚類群集の変化 −汽水域生態系の消滅−  向井貴彦*・古屋康則
5. 河口堰がアユの生活史に与える影響    古屋康則
6. モニタリング資料と漁業統計から見た通し回遊魚の現況  足立 孝*・古屋康則・向井貴彦
7. カニ類は河口堰によってどんな影響を受けたか?  千藤克彦*・山内克典・伊東祐朔
8. 長良川河口堰上流におけるイトメの生息状況  籠橋数浩*・千藤克彦・古屋康則・長野浩文
9. 河口堰によるシジミ類の生息への影響  粕谷志郎*
10. 長良川河口堰上流部におけるマシジミの減少とその原因  山内克典*
11. 河口堰上流で集団発生したオオシロカゲロウ  千藤克彦*
12. 河口堰運用後のユスリカの増加とその後の減少  粕谷志郎*・五條貴久・可児真有美・小林 貞
13. 長良川河口堰下流部における底泥堆積と底生動物の変化  山内克典*・足立孝・古屋康則
14. 河口堰は内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の堆積場をつくる  粕谷志郎*・船越吾郎
(*:責任著者)
あとがき   伊東祐朔
 
 
 出版予定日は6/12でしたが,おそらく少し遅れます.6/25までには確実に出ます(たぶん).
 冊子体はタダで配付予定ですが500部しか作らないので,遠隔地の方などはPDFをダウンロードしてもらえるようにするつもりです.

 現調査団は,出版後に解散予定なので,以後の連絡先としてボクの研究室が事務局になります.

| | TrackBack (0)

2010.06.01

当面の予定

ついに6月になりました…

 平日もいろいろとやることは多いのですが,これから7月末までのおそるべき土日のスケジュール…


6/5土 市民による海づくり大会
 (講演:『長良川の魚たちは今?』)
6/6日 「長良川下流域生物相調査報告2010」発行の記者発表

6/12土-13日 GORI研究会@沖縄(出張は6/11-14)

6/19土 岐阜県高等学校文化連盟自然科学部会 研究向上講座
 (講義:『DNAで調べる岐阜県の淡水魚:見えない多様性と自然保護』)
6/20日 流域環境保全ネットワークの調査に参加(のつもり)

6/26-27,7/3-4は休日の予定

7/10土 教養セミナーの学生を連れて自然共生研究センターとアクアトトの見学

7/17土 日本魚類学会市民公開講座「レッドリストと生物多様性の危機」
 (話題提供:『県版レッドリストで地域の希少魚類は守れるか』&パネルディスカッション)

7/24土 岐阜大学大学院連合農学研究科 公開講座@河合塾・岐阜校
 (講義:『岐阜県の絶滅のおそれのある魚類:その現状と保護について』)


と,いうことで,8月にある学会は不参加.8月に名古屋で行われる国際シンポもお誘いがあったけど,休ませてくださーーーい.

| | TrackBack (0)

« May 2010 | Main | July 2010 »