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2010.06.08

市民による海づくり大会・長良川下流域生物相調査報告書2010

◆6/5(土)-6/6(日)の『市民による「豊かな海づくり大会」』は無事に終了.
 ボクは初日のイベントで講演した程度の貢献しかしてませんが,それなりに人も集まって良かったんじゃないかと思います.新聞各紙の地方版にも取り上げられていますが,詳しくは以下のブログを見ると良いかと.

徳山ダム建設中止を求める会事務局長ブログ(2010.6.7)
市民による「豊かな海づくり大会」-1
 
六文銭の部屋へようこそ!(2010.6.7)
長良川を殺さないで欲しい! 官製 vs 市民大会
 
 
 河口堰と海づくり大会に関しては,行政が河口堰問題を全力でスルーしつつ,「子供たちによる放流」などの,一見和やかで,それでいて何の意味も無いプロパガンダで誤魔化しているところに,おぞましさを感じずにはいられません.(子供を動員して誤魔化す,というのはファシズム国家の隠蔽の定番ですし 苦笑)
 
 そして,マスコミ各社でも,公のプロパガンダに協力せざるを得ないので,一方で河口堰問題を糾弾し,市民運動を支援しつつ,もう一方では「岐阜県による海づくり大会大成功」みたいに報道するのでしょう.自分が住んでいる場所ではありますが,「これ,どこの北朝鮮?」って感じです.
 もちろん,本当の軍事独裁国家なら,こんなことを書いたり,市民運動なんてもってのほかなので,その点ではマシなのですが…
 
 
◆長良川河口堰関連でもう一つ.
 6/6(日)には,長良川下流域生物相調査団による「長良川下流域生物相調査報告書 河口堰運用15年後の長良川」の出版について記者発表?を夕方におこないました.タイミングが悪かったのか,記者さんは一人だけでしたが,報告書を出した後のシンポなどについての話し合いもできたので,有意義ではありました.
 
 
P6083040

左が1994年に長良川河口堰が運用される前に出版したもの.右が2010年版.

 この報告書について,ボクは「調査団」に入っていたわけではないのですが,岐阜大学に職を得てからいろいろと関わっております.そんなわけで,一章書いた上で原稿の取りまとめやら校正やらいろいろ手伝っております.

 内容的には,実はかなりよくできた報告書です.

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(2010.6.26追記)
下記サイトで報告書がダウンロードできるようにしました.
http://homepage2.nifty.com/PhD-mukai/nagara/
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 長良川河口堰運用によって,汽水域の生態系が失われて貧相な川になっているのは,自然を見る目がある人なら一目瞭然なのですが(特に,比較可能な木曽川と揖斐川の汽水域が両側を平行して流れてますから),どのように違うのか,どう変化したのかを明確なデータで示しています.ヨシ帯の消失や,底生動物相の著しい貧弱化については,非常に実証的なアプローチもなされていて,ヘタな査読誌の論文よりも,はるかに優れています.(一応,各章の原稿を相互に査読しましたし.)


<目次>

まえがき   山内克典
1. 河口堰上流の植生はどのように変化したか  千藤克彦*・後藤稔治
2. ヨシ群落の死滅と生存  山内克典*・古屋康則・足立 孝
3. 減少したオオヨシキリ  大塚之稔*
4. 長良川河口堰による魚類群集の変化 −汽水域生態系の消滅−  向井貴彦*・古屋康則
5. 河口堰がアユの生活史に与える影響    古屋康則
6. モニタリング資料と漁業統計から見た通し回遊魚の現況  足立 孝*・古屋康則・向井貴彦
7. カニ類は河口堰によってどんな影響を受けたか?  千藤克彦*・山内克典・伊東祐朔
8. 長良川河口堰上流におけるイトメの生息状況  籠橋数浩*・千藤克彦・古屋康則・長野浩文
9. 河口堰によるシジミ類の生息への影響  粕谷志郎*
10. 長良川河口堰上流部におけるマシジミの減少とその原因  山内克典*
11. 河口堰上流で集団発生したオオシロカゲロウ  千藤克彦*
12. 河口堰運用後のユスリカの増加とその後の減少  粕谷志郎*・五條貴久・可児真有美・小林 貞
13. 長良川河口堰下流部における底泥堆積と底生動物の変化  山内克典*・足立孝・古屋康則
14. 河口堰は内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の堆積場をつくる  粕谷志郎*・船越吾郎
(*:責任著者)
あとがき   伊東祐朔
 
 
 出版予定日は6/12でしたが,おそらく少し遅れます.6/25までには確実に出ます(たぶん).
 冊子体はタダで配付予定ですが500部しか作らないので,遠隔地の方などはPDFをダウンロードしてもらえるようにするつもりです.

 現調査団は,出版後に解散予定なので,以後の連絡先としてボクの研究室が事務局になります.

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