« 魚類学会での発表準備 | Main | いらんもんは,いらん »

2009.10.06

「国内外来魚問題の現状と課題」日本魚類学会市民公開シンポジウム再案内

Photo_2
 
 
以前にも案内を書いた10/12開催の公開シンポですが,再度案内を載せておきます.

 ちなみに,このシンポは「市民公開」なので予約無しで自由に見に来てもらってかまわないのですが,勝手に行っても良いものかと心配された方からの確認メールがちらほらと…いや,本当に大丈夫なんですよ!

 ただ,水産関係あるいは釣り関係の方々にとっては「放流」というのは絶対的なもの(土木工学関係者における「ダム」の絶対的存在価値くらいか)となっている可能性もあり,感情的な反発も予想されます.数年前に自然保護委員会が行ったシンポでも,保全を主眼においた内容でありながら放流問題に触れた結果として感情的な反発も受けたようですし,今回も釣り関係の複数の雑誌でシンポの紹介が載るはずだったのが,掲載されなかったりしておりますので,当日はどんなふうになるのでしょうね? 過去の行為を責めるためのものではなく,現状を理解して今後を良くする糸口をつかむのが目的なのですが…

 また,このシンポの宣伝がある程度なされていたおかげで,電車に中吊り広告が出るようなコンビニにも売っている某週刊雑誌が外来種特集をするにあたって,ボクのところに取材が来ました.特集としては外来生物一般のことを扱うので,国内外来種の話を聞きに来たわけではないのですが,外来種問題自体の啓発にはつながっているのかな.(その雑誌の特集については,あんまりよろしくない極論を言うような人達のところにも取材に行っているので,全体としてどうなるかはわかりませんけど)

 さて,そんなわけで,いよいよ来週月曜日の市民公開シンポ「国内外来魚問題の現状と課題」について,プログラムを載せておきます.

*****************************************
市民公開シンポジウム 「国内外来魚問題の現状と課題」
日本魚類学会主催

日時: 2009年10月12日(月・祝) 11時00分~18時30分
(開催時間は魚類学雑誌第56巻1号掲載のものから変更になりましたので御注意ください)

場所: 東京海洋大学 大講義室
東京都港区港南4-5-7

アクセス
・JR線・京浜急行線 品川駅港南口(東口)から徒歩約10分
・東京モノレール天王洲アイル駅から「ふれあい橋」を渡り正門まで約15分
・りんかい線天王洲アイル駅から「ふれあい橋」を渡り正門まで約20分


シンポジウムの目的と概要

 外来生物が引き起こす様々な影響は今や世界的な問題となっています.日本においても生物多様性や人の健康,産業に著しい被害をもたらす外国の生物を特定外来生物に指定し,取り扱いを法的に厳しく制限しています.しかしながら,本来生物にとって国境という概念は無意味です.こうした「国外外来生物」に比べると,日本産という意味では在来種であっても,国内において意図的に,あるいは意図せずに本来の分布域外へ運ばれることで「国内外来生物」となっているものが多く存在することや,それによって引き起こされる遺伝的かく乱や生態系への影響についての認識は驚くほど低いのが現状です.
 淡水魚の場合,移動範囲が同じ水系内に限定されるという特性から,日本国内でも地域ごとに遺伝的・生態的・形態的に違いが生じ,多様であることが知られています.ところが,漁業や釣り目的で膨大な量のアユやコイ,フナなどの種苗が全国で放流されており,そうした種苗に混入した淡水魚が本来の分布域を越えて全国に広がっています.混入した淡水魚は,海外からの外来生物と同様に侵入先で悪影響を及ぼしている可能性があるにもかかわらず,それらが「日本産」であるという理由で見過ごすことは,魚類はもとより河川や湖沼の生物多様性の保全にとってのリスクを放置することにつながります.イワナやヤマメなどの渓流魚や,メダカやタナゴのような観賞魚においても,地理的多様性を無視した放流によって遺伝的かく乱が生じていることが危惧されています.さらに,海水魚においても,地域差を無視した放流が続けられており,生物多様性に悪影響を与えていると考えられています.こうした放流は,資源保護の観点からは正当な行為とみなされており,また保全や環境美化,情操教育を目的とした「善意」に基づいているという面もあるため,解決のためには正確な現状認識と,慎重な議論が不可欠です.
 そこで,私たちは魚類における国内外来種の問題を「国内外来魚問題」と位置づけ,気鋭の研究者に最新の研究に基づいて国内外来魚による在来生態系への影響を御紹介いただくとともに,その分布拡大要因と,先駆的な法的規制や放流ガイドラインをふまえて,日本の豊かな自然をどのように守っていけばよいのかを議論する場としてこのシンポジウムを企画しました.
 自然環境の保全と復元,外来種問題などに興味関心を持ち,また取り組んでおられる方々の積極的な御参加をお待ちしております.

プログラム

I. 基調講演
国内外来種とは何か?
  瀬能 宏(神奈川県博)

II. 国内外来種による生態系・群集の変化
有明海沿岸域のクリーク地帯における国内外来魚の分布パターン
  鬼倉徳雄(九大院農)

湖沼におけるコイの水質や生物群集に与える生態的影響
  松崎慎一郎(東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構)

III. 国内外来種の希少淡水魚への悪影
シナイモツゴからモツゴへ-非対称交雑と種の置き換わり-
  小西 繭 (信州大SVBL)・高田啓介(信州大理)

タナゴ亜科における遺伝子浸透
  三宅琢也・河村功一(三重大院生資)

IV. 国内外来種による遺伝的攪乱
琵琶湖から関東の河川へのオイカワの定着
  高村健二・中原真裕子(国立環境研)

大和川水系でみとめられたヒメダカによる遺伝的攪乱
  小山直人・北川忠生(近大院農)

琵琶湖水系のイワナの漁場管理にむけて
  亀甲武志(滋賀水試)

V. 海産魚における国内外来種問題
日本の水産業における海産魚介類の移殖放流
  横川浩治(香川県多度津町)

VI. 国内外来種拡散の要因
内水面漁業の今後の課題
  丸山 隆(海洋大)

滋賀県内の鑑賞魚店における日本産淡水魚類の販売状況と課題
  金尾滋史(多賀町博)

VII. 国内外来種の法的規制
滋賀県の条例について:地方条例は国内外来種問題に対処できるか?
  中井克樹(琵琶湖博)

保全の単位:考え方,実践,ガイドライン
  渡辺勝敏(京大院理)

総合討論:今後の対策について(司会:向井貴彦)

*****************************************

|

« 魚類学会での発表準備 | Main | いらんもんは,いらん »

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/5018/46414652

Listed below are links to weblogs that reference 「国内外来魚問題の現状と課題」日本魚類学会市民公開シンポジウム再案内:

» 日本魚類学会自然保護委員会 市民公開シンポジウム 「国内外来魚問題の現状と課題」 [作ってはこわき作ってはこわき]
日本魚類学会自然保護委員会 市民公開シンポジウム 国内外来魚問題の現状と課題 【日 時】 平成21年10月12日(月・祝) 11:00-18:30 【場 所】 東京海洋大学 講議棟1F大講義室(東京都港区港南4-5-7) 【参加者】 たくさん。 【内 容】 I. 基調講演  1.国内外来種とは何か?            瀬能 宏(神奈川県博) II. 国内外来種による生態系・群集の変化  2.有明海沿岸域のクリーク地帯における国内外来魚の分布パターン         ..... [Read More]

Tracked on 2009.10.14 at 11:13 PM

» 叱咤 [CHAOS‐DIVER]
さて、報告が遅くなりましたが、10月12日体育の日に海洋大で開催された日本魚類学会の公開シンポジウム「国内外来魚問題の現状と課題」に参加してきました。 講演の内容については要旨が公開されるということなので、そちらをあてにすることにして(ただし、いつ公開されるの...... [Read More]

Tracked on 2009.10.25 at 11:31 PM

« 魚類学会での発表準備 | Main | いらんもんは,いらん »