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October 2009

2009.10.27

「国内外来魚シンポ」講演要旨公開

◆先だって10/12に東京海洋大学でおこなわれた公開シンポジウム「国内外来魚問題の現状と課題」について,講演要旨を学会年会参加者以外にお渡しできなかったので,日本魚類学会のホームページからPDFをダウンロードできるようにしてもらいました.

↓シンポのページ
http://www.fish-isj.jp/event/sympo.html

 ただし,年会の講演要旨集そのままではなく,若干の改訂がしてあります.
 改訂の一つは,シンポの概要についての文章を,あまり練れていない講演要旨集版ではなく,学会HP版にしてあるということ.もう一つは横川さんの講演要旨を御本人の希望に従って改訂版に差し替えてあります.

◆このシンポの連絡先となったおかげで,シンポの前後にいろいろな話が来ました.

 一つは,以前にも書いたSPA!の取材.もう一つは某新聞社の名古屋支局の方が「国内外来魚」についての話を聞きに来ました(すぐに記事にするわけでは無さそう).

 さらに,先々週に某民放局の皇室番組のスタッフの方から電話があって,唐突に「ニホンですか,ニッポンですか?」と聞かれました…学会の年会事務局に連絡が取れなかったので,ボクに電話してきたようですが,ようするにナレーションをするときに「ニホンギョルイガッカイ」と読めばいいのか「ニッポンギョルイガッカイ」と読めばいいのかが知りたかったみたいです.「ニッポン」と読む人は見たことがなかったので,「ニホンでいいんじゃないですか? 間違ってても誰も文句言いませんよ」と伝えておきましたが,ここはあえて「ニッポンですよ!」と教えた方がオモシロかったかな?

 そして,タイムリーなことにシンポで講演してもらった中で出てきた「滋賀県産イチモンジタナゴ」のネット販売事件も最近報道されました.Googleニュースで「イチモンジタナゴ」と入れて検索すれば記事が出てきますが,産経の報道はおおよそ正しく,時事ドットコムや毎日で「DNA鑑定したところ、琵琶湖産ではないことが判明した」とされているのは誤報のようです.

◆本日の1限は「環境保全論II」の講義で,前回はレッドリスト選定手順の説明をしたので,今回は選定された絶滅危惧IA類の実例としてリュウキュウアユとイタセンパラの話をしました.イタセンパラは天然記念物であり,種の保存法で守られているはずなのに,密猟者がいて,あまつさえ販売されているのに逮捕者が出ない,ということを毎年話しているのですが,今回はイチモンジで逮捕者が出たので,さっそくのその記事を配布して,これで少しはマシになるかも,ということを説明しました.

 しかし,講義の感想を書いてもらったのを見ると,非常に好意的な感想がある一方で,「魚の話ばかりなので集中して聞くことが出来なかった」という意見も… う〜む,魚以外だと裏事情や詳細を知らないので,表面的な話になってしまうんだけどなぁ…

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ドラマ

◆先週は月曜日に科研費の書類をとりあえず学内締め切りに合わせて提出.水曜日には夕方から長良川市民学習会で京大名誉教授の今本博健さんの講演を聴いて,講演後のパネルディスカッションでパネラーとして参加しました.今本先生という方は,最近さまざまな雑誌に出ておられて,ボクが載っているSPA!の同じ号にも大きく出ておられるし,先週と先々週のビッグコミックスピリッツでは美味しんぼの中にまで登場されております.

 市民学習会での講演は,これからの川についての話だったのですが,スライドも何も使わずにただ立って話すだけで聴衆を引き込む今本先生の話術は凄かったです.内容的には,かなりのぶっちゃけ話でしたし,「治水をやってきた者にとって,長良川河口堰は治水のためです,と言われたのは非常に腹立たしい」と言っておられたのは,やはりそうなんだ,と思いました.


◆さて,その他もろもろの仕事をこなしつつ,金曜日は愛知県方面にMJ大のT先生と一緒に採集調査.そして,土日は,ようやく久しぶりの締め切りに追われていない,他に用事の無い休日でした.(ホントは査読とか,校正とかはいろいろあったけど,土日にやらねばならない,というわけではなかった)

 そんなわけで,久しぶりに一切ヒトと会わないヒキコモリになって,土曜日は一切外出せず部屋に一人で過ごして,日曜日も夕方に食材とマンガを買いに出ただけで,それ以外は全く他人と接することはありませんでした


◆しかしながら,ひきこもって過ごしたおかげで撮りためたテレビ番組を大体見終わりました.最近土曜日の晩に放送が始まった「ターミネーター  サラ・コナー クロニクルズ」も1~2話を続けて見たところ,なかなか面白いんですけど,なんかすっごく日本のマンガっぽいです.

 話としては,ジョン・コナーのクラスメイトとしてあらわれた女子型ターミネーターが,いつものごとくジョンを抹殺に来たターミネーターと戦うのですけど,女子型ターミネーター(←長いので,以後「タミ子」)が,銃で撃たれるは,車で引かれるは,高圧電流でふっとばされるは,窓から投げ捨てられるわ,毎回ヒドイ目に会うんですよね…ターミネーターなので本人は気にしちゃいませんが,結構カワイイ女優さんなので,タミ子が次はどんなヒドイ目に会うのか,ちょっと心配です.

 あ,それと,ターミネーターは設定的に未来の人類のリーダーになるジョンを,母親のサラ・コナーが守るのが中心になってくるので,どうしても母のサラが息子のジョンにべったり,ということになります.そこに若いタミ子が絡んでくるので,サラとタミ子の会話とかは嫁姑みたいで,これも別の意味でハラハラします(笑).

 ドラマといえば朝の某局の連続ドラマも,今回はウミガメとか雑誌編集とか,興味あることがいろいろ入ってるので毎回見ておりますが,今朝の放送では「熱帯の海での種分化」の話を黒島のウミガメ研究者の人たちが酒を飲みつつ熱く語っておりました.そうなんよ,海洋で大規模な回遊をするウミガメみたいな生物が,どうやって種分化するのか,とかホントに興味深いよね.(←ドラマ的には,主人公の女の子がそういう話に入っていけなくて困っている,という場面だったんですが,まあ,そんなことはどうでもいいのです)


◆ついでにMHP2Gの最近の状況記録.
 学会前にハンターランク6に上がることができたので,大体一ヶ月で一つランクアップという自己目標は達成中.
 この週末には村クエストでナルガクルガ討伐クエストが出現したのでやってみたら,初挑戦で,しかも閃光玉とか忘れて行ったにもかかわらずクリアできました.先週のK研との合同飲み会で,モンハンをやりこんでいるK研の男子学生が「へビィボウガンではナルガクルガに弾があたりませんよ」とか言ってたり(ボクは,ほぼヘビィボウガン一筋のガンナー),以前MHP2Gをやっていたことがあるウチの学生が「ムササビ野郎(ナルガクルガ)が倒せないので諦めた」と言っていたので,どんなもんかと思っていたのですが,若さにまかせた戦闘よりも,ボクの老獪な戦術の方が,この場合は良かったということか?

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2009.10.19

科研費

今年の科研費申請の学内締切は10/19月曜日ということだったのですが,月曜日はいくつか予定が入っていたりして作業が出来るとは思えなかったので,日曜日中に作成して電子申請も終了.

 この時点で午前2時半.

 ああ,疲れた.でも勝てる気がしないなぁ…
 

(;´д`)トホホ…
 
 

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2009.10.17

分類思考の世界

学会が終わってから,会議に出たり講義をしたりしながら,学生と野外調査等の日程調整をしたり,いろいろな依頼やシゴトの日程調整をしつつ,科研費申請の下書きをしております…

 しかし,自分が代表で申請する分については,ここ数年の間に負け癖がついているので,どう書いてもダメな気がしてツライ……他の予算がある内に大きめの申請にチャレンジしようかとも思っていたけど,夏休みから学会前まで忙しすぎて,全然アイデアを練ったり,共同で申請できそうな人に連絡しなかったので,そっちは諦めて,ダメもとで個人レベルのを出します.

 月曜日が学内締切なので,一応,下書きまでは済ませたけど,自信がないなぁ.これがスランプってやつか…?


◆さて,そんな憂鬱な状態なので「逃げちゃダメだ,逃げちゃダメだ…」と某有名アニメの主人公のように内心つぶやきつつ,結局は時折気分転換に本を読んだりしておりました.

 で,学会前からぼちぼち読み進めていて,さっき読み終わったのが三中信宏さんの「分類思考の世界」.

 この「分類思考の世界」は,進化生物学に絡んでいる日本の研究者ならお馴染みの「種」はあるかないか論争についての三中京極堂の見解を記したものです.若い院生やポスドクは知らないかもしれませんが,EVOLVEのような進化生物学のメーリングリストで過去何度も「種論争」があったのですよ.みんな熱かったなぁ,あのころ(遠い目).

 このごろはほとんど国内での種論争はなくなりましたが,それは以前に議論に参加していたり,端で見ていた人達が,これは決着はつかない,ということに気付いて,それぞれのコミュニティに引っ込んでしまったからかなぁ,と,ボク個人は思っています.結局,自然物を整理するための便宜的ツールとしての「種」は必要ですが,生物学的には「あると思う人にはある」ような魍魎だということを納得できない人も多いのです.

 で,三中京極堂の結論は「この憑き物は落とせない.だからそのまま付き合うしかない」ということのようですね.

 そんなふうに割り切ってるせいか,三中さんがノリノリで書いてるっぽくて,本の内容が,かなり趣味に走ってる感じもします.「うわん」とか「魍魎」の絵を載せているあたりなんかは,すっかり京極夏彦風になってるし,本文とあんまり関係なく「もやしもん」のコマを2箇所も載せてますから悪のりしてるような気も…(ボクは,そういうの好きですけど)

 他にも哲学のいろいろも書いてありますが,その辺はボクにはさっぱり理解できないので(種は「個物」だとか「システム」だとか,全然イメージ出来ないッス),そういうのはわかる人がわかればいいのかな? ようするに,この本の重要な部分である「哲学」のところが,ちゃんと読めてないんですけど(汗)

 ちなみに,以前「系統樹思考の世界」も読んだのですが,系統樹思考の方が教科書くさい?かな? もっとマジメな感じだったような印象があります.

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2009.10.13

SPA!

◆10/9-12は日本魚類学会年会@東京海洋大に参加しておりました.

 10/12は国内外来魚シンポで,その仕切りをしなければならなかったのですが,10/9に海洋大に着いてから必要な準備が出来ていないことを次々と思い出しまして,コンビーナーの人達にいろいろお願いしたり,海洋大の先生にお願いしたりして,かろうじて何とかなりました…関係者のみなさま,いろいろスイマセン.

 年会そのものは楽しかったのですが,ポスターを充分に見る時間がなかったのが残念です.口頭発表は,見たかったものの多くを見ることができたのですが,分類学をしている同年代の人達数名のプレゼンの巧さに心底感服しました.あれは,上手だ.うん.他には,K大のK先生のところの,どじょっこ軍団の一連の発表がおもしろかったな.

 また,個人的には,シンポを含めた口頭発表や,会場での質疑・場外での議論で,とてもクレバーな行動をとれる方々を見て,すばらしいなぁ,と思いつつ,そうした振る舞いの出来ない自分の愚昧さをコッソリ悲しんだりしておりました.

 とりあえずシンポそのものは盛会で,それ自体は良かったかなぁ,と.保全のみならず,サイエンスとしても興味深いものがいろいろ含まれていましたし,今後もいろいろな面で多くの人が継続していくべきテーマだとあらためて思いました.
 
 
◆さて,連休が明けて10/13は,電車で移動して東京の某河川で採集してから大学に戻りました.
 
Dsc_2031
↑成果物
 
 目的は,上の写真とは別のド普通種の遊泳性魚類だったのですが,そちらはタモ網で小型個体をそこそこ確保.しかし,ハゼの方がカワイイですな.
 
 
◆国内外来魚シンポが明けて,翌朝にはコンビニに週刊SPA!が並んでおり,先週取材を受けた「外来種特集」がちゃんと載っておりました.初稿段階では,ボクがとんでもない過激発言をしたことになっていたので,「この部分は絶対に直してください!」と言っておいたのですが,実際に発売されるまでは「もしも直ってなかったらどうしよう…」と,結構心配してました.

 ま,幸いなことに原稿は修正してもらえたので良かったです.ホントに.

 ちなみに,中吊り広告にも「外来種特集」のことはちゃんと書いてありますね.左右や直下の記事のタイトルが,なんとも言えませんが…coldsweats01

 しかし,こんな雑誌なので,研究室で学生たちと一緒にページをめくっていたら水着ギャルのグラビアがあったので「こういうのがあるとセクハラとか言われそうだよね〜」と言ったら「セクハラですw」とニコヤカにピシャリと言われたので,とりあえず外来種の記事だけ他のメンバーにも見せたら封印しときます.あぁ,コワイコワイ….

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2009.10.08

いらんもんは,いらん

今これを書いているのは,台風一過ですっかり天気が良くなった午後.

大型の台風が東海地方を直撃するということで,前日からさまざまな対応が指示されており,市内の小中学校は休校というのが前日に決定済み.しかし,うちの大学は朝7時の時点で暴風警報なら午前中は休講,午前11時の時点でも暴風警報なら午後も休講,という中途半端な指示でした.

 で,結局,午前中に注意報に変わったので,午後の講義を持っているボクは大学に来ていたのですが…鉄道が止まっていたせいで結局,午後も休講にしてくださいという指示が来ました.

 それでは,他のシゴトをしませう,と思っていたら,せっかく大学に出てきたのに先生が来ないので,どうしたものかと思った受講生が一人,今日の講義はどうなったんですか,と聞きにきました.まったく,大学が中途半端な指示をするから…
 
 
 さて,そんなことで学会前にやるべきシゴトの残りに手をつけていたのですが,ちょっとネットを見たら以下の記事が.

紀の川大堰の水利権放棄…大阪府、380億円負担無駄に

 内容的には,和歌山市に作られていた紀ノ川の河口堰について,大阪府が使うはずだった利水分を放棄する,という話ですね.大阪府がすでに支払った事業費負担分が380億円だけど,その後の利水のためには新たな水道設備を作って,さらに毎年2億円の維持管理費を払わされることになるので,今後の財政負担を考えれば撤退が有利,ということなのでしょう.

 ちなみに,なぜこの記事に目がとまったかというと,紀ノ川大堰のあたりは魚採りに行ったことがあるので,ちょっと気になっていたからです.あらためて和歌山河川国道事務所の公式サイトを見ると,紀ノ川大堰の目的として書かれているのは,無駄な公共事業といわれるものの典型だったので,思わず失笑してしまいますが.(きっと,テンプレートがあるのでしょう)
 
 
 結局,本当に防災や利水に必要なものであれば,そのことをはっきりとわかりやすく書けるはずなんですが,そうした目的が失われた状態で無理やり必要性を書くときに,最近の国交省の定番となっているのが「河川環境の改善」です.ダムを作ってコンクリで固めた人為的な環境にして,何が環境改善かと思いますよね.「環境のため」と言えば,それで市民は納得すると思っているのでしょうか.(あー,ムカツク)
 
 
 
 さらについでですが,今発売中のAERAに「ダム誘発地震」についての記事があります.

 ダムを作ると,それまでその場所に存在しなかった大重量が地面にかかりますし,岩盤の間にそれまでは浸透しなかった水が水圧で押し込まれたりするので,ダム周辺に地震がおきるという現象があります.それをダム誘発地震と呼び,いろいろと“海外では”研究されているようですが,日本では個人研究以外にはおこなわれていないようです.

 記事中の徳山ダムなどの大型ダムを建設したり管理したりしている水資源機構の人達の意見によれば「ダム誘発地震の研究があることは知っているが,湛水と地震の物理的因果関係は明らかになっていない.そう考えられるので調査研究はしていない.」だそうです.

 最近,国交省系のこの手の(゚Д゚)ハァ? な言い訳も,すっかり見慣れてしまいましたが,こんな態度で防災とか人命を語るな! と言いたくなります.こっちは徳山ダムのあたりから延びている断層の直上に大学があるんですが? 過去にも直下型大地震が起きて大災害が起きてる地域なんですけど?

 いい加減な言い訳をしなければならない事業は,必要ないから言い訳をしてるんであって,いらんもんは,いらんというのは正しい態度でしょう.そして,危ないんじゃないの?と危惧されることに対して「知りません,関係ありません」は無責任だよな.

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2009.10.06

「国内外来魚問題の現状と課題」日本魚類学会市民公開シンポジウム再案内

Photo_2
 
 
以前にも案内を書いた10/12開催の公開シンポですが,再度案内を載せておきます.

 ちなみに,このシンポは「市民公開」なので予約無しで自由に見に来てもらってかまわないのですが,勝手に行っても良いものかと心配された方からの確認メールがちらほらと…いや,本当に大丈夫なんですよ!

 ただ,水産関係あるいは釣り関係の方々にとっては「放流」というのは絶対的なもの(土木工学関係者における「ダム」の絶対的存在価値くらいか)となっている可能性もあり,感情的な反発も予想されます.数年前に自然保護委員会が行ったシンポでも,保全を主眼においた内容でありながら放流問題に触れた結果として感情的な反発も受けたようですし,今回も釣り関係の複数の雑誌でシンポの紹介が載るはずだったのが,掲載されなかったりしておりますので,当日はどんなふうになるのでしょうね? 過去の行為を責めるためのものではなく,現状を理解して今後を良くする糸口をつかむのが目的なのですが…

 また,このシンポの宣伝がある程度なされていたおかげで,電車に中吊り広告が出るようなコンビニにも売っている某週刊雑誌が外来種特集をするにあたって,ボクのところに取材が来ました.特集としては外来生物一般のことを扱うので,国内外来種の話を聞きに来たわけではないのですが,外来種問題自体の啓発にはつながっているのかな.(その雑誌の特集については,あんまりよろしくない極論を言うような人達のところにも取材に行っているので,全体としてどうなるかはわかりませんけど)

 さて,そんなわけで,いよいよ来週月曜日の市民公開シンポ「国内外来魚問題の現状と課題」について,プログラムを載せておきます.

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市民公開シンポジウム 「国内外来魚問題の現状と課題」
日本魚類学会主催

日時: 2009年10月12日(月・祝) 11時00分~18時30分
(開催時間は魚類学雑誌第56巻1号掲載のものから変更になりましたので御注意ください)

場所: 東京海洋大学 大講義室
東京都港区港南4-5-7

アクセス
・JR線・京浜急行線 品川駅港南口(東口)から徒歩約10分
・東京モノレール天王洲アイル駅から「ふれあい橋」を渡り正門まで約15分
・りんかい線天王洲アイル駅から「ふれあい橋」を渡り正門まで約20分


シンポジウムの目的と概要

 外来生物が引き起こす様々な影響は今や世界的な問題となっています.日本においても生物多様性や人の健康,産業に著しい被害をもたらす外国の生物を特定外来生物に指定し,取り扱いを法的に厳しく制限しています.しかしながら,本来生物にとって国境という概念は無意味です.こうした「国外外来生物」に比べると,日本産という意味では在来種であっても,国内において意図的に,あるいは意図せずに本来の分布域外へ運ばれることで「国内外来生物」となっているものが多く存在することや,それによって引き起こされる遺伝的かく乱や生態系への影響についての認識は驚くほど低いのが現状です.
 淡水魚の場合,移動範囲が同じ水系内に限定されるという特性から,日本国内でも地域ごとに遺伝的・生態的・形態的に違いが生じ,多様であることが知られています.ところが,漁業や釣り目的で膨大な量のアユやコイ,フナなどの種苗が全国で放流されており,そうした種苗に混入した淡水魚が本来の分布域を越えて全国に広がっています.混入した淡水魚は,海外からの外来生物と同様に侵入先で悪影響を及ぼしている可能性があるにもかかわらず,それらが「日本産」であるという理由で見過ごすことは,魚類はもとより河川や湖沼の生物多様性の保全にとってのリスクを放置することにつながります.イワナやヤマメなどの渓流魚や,メダカやタナゴのような観賞魚においても,地理的多様性を無視した放流によって遺伝的かく乱が生じていることが危惧されています.さらに,海水魚においても,地域差を無視した放流が続けられており,生物多様性に悪影響を与えていると考えられています.こうした放流は,資源保護の観点からは正当な行為とみなされており,また保全や環境美化,情操教育を目的とした「善意」に基づいているという面もあるため,解決のためには正確な現状認識と,慎重な議論が不可欠です.
 そこで,私たちは魚類における国内外来種の問題を「国内外来魚問題」と位置づけ,気鋭の研究者に最新の研究に基づいて国内外来魚による在来生態系への影響を御紹介いただくとともに,その分布拡大要因と,先駆的な法的規制や放流ガイドラインをふまえて,日本の豊かな自然をどのように守っていけばよいのかを議論する場としてこのシンポジウムを企画しました.
 自然環境の保全と復元,外来種問題などに興味関心を持ち,また取り組んでおられる方々の積極的な御参加をお待ちしております.

プログラム

I. 基調講演
国内外来種とは何か?
  瀬能 宏(神奈川県博)

II. 国内外来種による生態系・群集の変化
有明海沿岸域のクリーク地帯における国内外来魚の分布パターン
  鬼倉徳雄(九大院農)

湖沼におけるコイの水質や生物群集に与える生態的影響
  松崎慎一郎(東京大学 地球観測データ統融合連携研究機構)

III. 国内外来種の希少淡水魚への悪影
シナイモツゴからモツゴへ-非対称交雑と種の置き換わり-
  小西 繭 (信州大SVBL)・高田啓介(信州大理)

タナゴ亜科における遺伝子浸透
  三宅琢也・河村功一(三重大院生資)

IV. 国内外来種による遺伝的攪乱
琵琶湖から関東の河川へのオイカワの定着
  高村健二・中原真裕子(国立環境研)

大和川水系でみとめられたヒメダカによる遺伝的攪乱
  小山直人・北川忠生(近大院農)

琵琶湖水系のイワナの漁場管理にむけて
  亀甲武志(滋賀水試)

V. 海産魚における国内外来種問題
日本の水産業における海産魚介類の移殖放流
  横川浩治(香川県多度津町)

VI. 国内外来種拡散の要因
内水面漁業の今後の課題
  丸山 隆(海洋大)

滋賀県内の鑑賞魚店における日本産淡水魚類の販売状況と課題
  金尾滋史(多賀町博)

VII. 国内外来種の法的規制
滋賀県の条例について:地方条例は国内外来種問題に対処できるか?
  中井克樹(琵琶湖博)

保全の単位:考え方,実践,ガイドライン
  渡辺勝敏(京大院理)

総合討論:今後の対策について(司会:向井貴彦)

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魚類学会での発表準備

いよいよ今週末から魚類学会年会です.自分と学生たちの発表用ポスターも無事に印刷が完了したので,どうなることかと思ったけれど,なんとかなって良かったです.ホントに.

 また別途シンポの案内を書きますが,まずはうちの研究室の一般発表の演題を載せときます.
 (今回は要旨を載せずに紹介文を付けてみました)
 
 
ポスター発表 No. 117
日本列島におけるオイカワの系統地理
早川明里・高村健二・中島 淳・河口洋一・鬼倉徳雄・向井貴彦

 似たような題目で08年3月の生態学会,08年10月の魚類学会,09年3月の生態学会と発表を続けてきたオイカワの分子系統地理の最新版.発表するたびにデータが増えてきたのですが,今回は121地点758個体分のデータを使った大規模な階層クレード分析を中心に据えた内容です.
 門外漢の方にはちょっと取っつきにくい解析ですが,わかる人にとっては,ほー,なるほどなるほど,と思える地理的集団構造や,琵琶湖産の移殖の影響の大きさが浮き彫りになって,かなりオモシロイです.
 6-7月頃に研究室内で階層クレード分析の勉強会を行った上で,ボクが補助しつつも基本的に発表者自身が解析して作成したポスターなので,実物を見れば,学部4+生がここまで出来るのか…と,聴衆を驚かせられるレベルだと思っております.
 
 
ポスター発表 No. 148
岐阜県の水田地帯におけるスジシマドジョウ小型種東海型の生息環境と生活史
田中綾子・向井貴彦

 こちらは,フィールドワークの内容.まとまった知見がほとんど無いスジシマドジョウ小型種東海型の生態についての研究で,今年はじめたばかりなので,どうしても野外データは物足りないものの,充分な価値はあるかと思ってます.シマドジョウマニアのみなさまと,どう議論できるか…
 ちなみに,このポスターの説明タイムは,ボクは会議に出ており,その直後には決められた座席に座っていなければならないことになっているので,発表者の学生だけで全て対応する予定.
 
 
ポスター発表 No. 189
日本産モツゴにおけるmtDNAの地理的変異
向井貴彦・小西 繭・渡辺勝敏・武内陽佑・中島 淳・河口洋一・鬼倉徳雄・高田啓介

 ボクと九大の鬼倉さんらのグループで進めていた国内外来種プロジェクトで得たモツゴのデータと,それとは別に信州大の小西さん,京都大の渡辺さんが進めていた多くの研究データについて,手を組むべく働きかけて総合してまとめた内容.
 ですから,一応ボクが筆頭になっていますけど,実際は向井・小西・渡辺の誰が代表でもかまわないものです.ちなみに要旨に約100地点1000個体のデータ,と書いてしまったのだけど,その後にちゃんとデータをまとめたら日本のサンプルは81地点913個体だったので,ちょっと未来日記に追いつけず…
 個体数はともかく,地点数もせめて90地点を越えたかった…
_| ̄|○

 しかし,移殖されまくりで本来の系統地理なんて残って無さそうなモツゴについて,かなりいろいろ見えてきました.上述のオイカワと似たような形式で階層クレード分析の結果を記述しているので,比較すると系統地理パターンの類似がとても興味深いのですが,なぜか今回の魚類学会ではコイ科の系統地理に関するポスター発表は散り散りに配置されているので,見比べつつ議論するのは難しいかも.

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2009.10.01

夏休み終了

ついに夏休みが終わって,後学期が始まってしまいましたよ…
il||li _| ̄|○ il||li


 公開講座の担当回が9/19に終わって,翌日から連休だったわけですが,その間,かなり集中して学会発表用のデータ整理と解析,ポスター作成をしました.だいたい午後遅めに研究室出て,研究室のいきものの世話をした後は,基本的に朝までノンストップでパソコン作業をするという超集中型作業をしていたので,ちょっと大学院生やポスドクだった頃のような感覚になりました.

 おかげで連休終了後も,勢いが残っていたので,いろいろと研究に関する作業は進んだのですが,それでも,まだまだ宿題は山積みです.どういうわけか,この8月・9月は忙しすぎて,本当に何も余裕がなかったのですよ….

 さて,忙しいとは言ってもデスクワークだけではなく出張や採集調査もあったからなのですが,9/29に某小魚の生態調査をテーマにしている4年生の補助に行ったら,カコイイ成体のスッポンが採れました.
 
P9291488_2
 スッポンを持っているのは,この場所での調査を卒論テーマにしている女子学生ですが,このサイズのスッポンをためらわずにちゃんと持てるのはスバラシイことです.
 
 
P9291482
 こちらはボクが持っているのを学生が撮影した写真.ぶれているけれど迫力はこっちの写真の方が上かな.去年採れた幼体は研究室で育てているのですが,やはり野生の成体は迫力満点です.

 あぁ,かっこいいなぁ.catface
 
 

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