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2009.08.26

晒しあげ

ボクが某県で絶滅のおそれのあるいきもののリストを作るオシゴトをちょっと手伝ったりしているのは,以前にも書いた気がするのですが,お上に都合の悪い記述に関しては,時々修正の依頼が部会長のところにくるようです.

 部会長がしっかりしていれば安易に従うことは無いので,今お手伝いしているシゴトについては安心しておりますが,もしも部会長が御用学者チックな人だったりしたらお役所に都合の良いようにドンドン改竄されるんだろうな,と思った次第です.

 昔々,「不機嫌なジーン」というドラマがありまして,その中で主人公の女性の元恋人が環境学者として名を馳せている人という設定だったことがあります.で,その環境学者の人は,若いときに九州の某巨大干潟の干拓事業の事前調査に関わっており,地元の少年に「この海を守るための調査をしてるんだよ」と言っていたのですが,作成した報告書が改竄されて事業に問題なし,とされてしまったという汚点を持っていたという内容でした.

 で,ドラマでは調査しているのを見た少年が,その後,干拓反対運動に参加し,海を守ると言っていたくせに干拓OKとした「環境学者」を激しく憎んで……という展開もあり,なかなかおもしろかった憶えがあります.
 
 
 さて,なんでこんな話を書いているかというと,上述の某リストに関して,県内の汽水魚の生息環境激減の原因を記載する欄で「長良川河口堰」と名指しするのはやめて欲しいという依頼があったようです.固有名詞でなければそれでよい,ということなら,そのように対応していただいてもかまわないと思いますが,怒られたり問題視されることを覚悟の上で,県庁の担当の人の文を以下に晒します.

(以下,メールの一部を抜粋)
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 そこで、早速、当方にて内容を拝見させて頂きましたところ、原稿中の「生息環境」や「減少要因」の箇所におきまして長良川河口堰に関する記載がありました。
 当方としましては、県のレッドデータブックの役割を、「絶滅のおそれのある野生生物の現状を明らかにするとともに、その保護対策の基礎となるべき資料の提供であって、今後どのようにこれらの野生生物を保護をしていくか」ということとしております。
 従いまして、レッドデータブック中にて特定の施設や事業を名指ししその影響を記載することは、本来の目的ではないと考えております。
 なお、河口堰につきましてはその事業規模等から事業完了後も独立行政法人水資源機構では定期的な調査を自主的に行っており、事業完了後も良好な自然環境を保つようISO140001に沿った環境マネジメントを積極的に行っているところと聞いております。
 これらのことにつきまして、ご高配頂きましたうえで、ご提出頂いております原稿の表記につきまして、是非ともご一考頂きますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 なお、当方では先生のご都合によりましてお時間を頂くことができれば、大学の方へ出向き、直接、ご説明をさせて頂く準備をしております。
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 ちなみに「ISO140001」とか書いてありますが,ISO14001のことでしょう.

 ISO14001とは,企業等が省エネルギーや廃棄物の削減などを効果的におこなえるように企業内のシステムを構築していることに対して,審査して国際認証を与えるものです.この認証においては,企業内のシステム(組織)が適切に作られて機能していることが基準であって,実際に廃棄物がどれだけ削減できたかどうか,とか,環境問題に対してどのような成果を挙げたか,という具体的な環境問題に対する成果物は必要ありません.企業内のシステムの管理が「環境マネジメント」であり,自然環境云々は全く関係ありません.

 つまり,ISO14001に関しては,外部環境を具体的に良くしたかどうかは一切問われないにも関わらず,国内認証を取得しているから自然環境を適切に管理している,などと水資源機構が言うのは明らかなウソですし,それにだまされる方も,何一つ理解していないということです.どっちも最低ですね.

(8/27補足)
おそらくは岐阜県庁の担当の人はだまされているわけではなく,単なる無知なのだと思いますが,要するに気に入らない点は次の二つなのです.

1. てきとうな言葉で誤魔化そうとする役所のウソつき体質

 とりあえずウソでもなんでもいいから,それらしいことを言って済ませようとするのはダメでしょう.そういう態度で普段から国民・県民に対応してるわけですか? ってことです.
 
2. 国の言いなりの県行政
 
 水資源機構の言うことにはそのまま従い,魚類の専門家が調査した結果に基づく判断は否定するつもりなんでしょうかね?

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