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July 2009

2009.07.24

「まんがで読破 種の起源」

ここ数ヶ月間の未読本の堆積速度は尋常ではなく,机上が大変なことになりつつあります.ま,原因は明らかで,モンハンと査読,研究会やシンポの開催・開催準備が集中しているからなんですが.
(え? モンハンをやらなければいい? (∩゚д゚)アーアーきこえなーい )

 ただ,すぐに読めるマンガは目を通していて,先日本屋で見かけた次の本も,なんとなく買ってみました.

「まんがで読破 種の起源 ダーウィン・作」

 いや,正直全然期待してなかったんですよ.

 そしたら,ダーウィンが種の起源を世に著すまでのことが,実に要領よくまとめられていて,しかも進化についての説明が的確なんですよね! 実際のところ,全然「種の起源」の訳でも何でもないので「ダーウィン・作」というのは,ちょっと違うんでは?と思わなくもないけれど,「不思議の海のナディア」がジュール・ベルヌ原作となっているようなものかもしれません.

 絵柄は,個人的には好みじゃないですし,昔懐かしい「学研まんが」のような構成ですが,科博でおこなわれていたこ「ダーウィン展」にあったような比較的新しい知見を取り入れて,カッコイイ言葉を格好良く描いているところが,とても良いです.

 今年はダーウィンの生誕200周年で,いろいろな本が出版されていますから,そうした便乗本と言えるかもしれませんが,小中学生でも読める適切なものでしょう.

 また,今年のダーウィン本の類は,いくつか買っているものの,まだ全然読めていませんが,北村雄一さんがサイエンスジャーナリスト賞を受賞した「ダーウィン『種の起源』を読む」も良い本のようですし,「ダーウィンが信じた道:進化論に隠されたメッセージ」も,三中さんの書評を読む限りでは,目から鱗が落ちそうなことが書いてあります.

 ちなみに,件の北村さん,授賞式にてノーネクタイの普段着で出席し(Tシャツ・ジーンズで?),「年収200万円です」と言ってウケをとっていたそうです.ま,たまたまS大学にいる北村さんのお兄さんと話をする機会があって(服の話はそこで聞いた),実際はウケていたのとは少し違うらしいとも聞きましたが…

 いずれにしても,200周年便乗企画であろうとも,良書がたくさん出ればそれで良し,ですね.

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2009.07.23

凶兆?

◆昨日は,日蝕,日蝕と世間が浮かれているにも関わらず,学生と水路の魚の定期調査に行っておりました.どうせ曇ってるから日蝕もよく見えないだろうと思っていたのですが,それなりに見えていたようですね.ちょうど日蝕がピークの11時頃は調査地に移動中だったのですが,曇っていて薄暗いのかと思っていたのが,実は日蝕のせいだったのか…?

 さて,そんな調査地で先週,学生が採ってきたオタマが…
 
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 「タガメの餌用にオタマ採ってきて」と頼んでおいたら,何匹かオタマジャクシを持って帰ってきてくれたんですが,その中にこの個体がいたわけです.最初は後肢も,もっと小さかったのですが,だんだんと変態が進むに連れて3本目の後肢がさらに2本に枝分かれしていることがわかってきました.

 まだ生きてますが,なんとなく弱そうな個体なので変態できるかどうか…
 
 
 
◆さて,昨日はそんなこんなで,いろいろやりつつ,魚類学会の発表の申込みも済ませて,今日は信魚研の申込みも無事終了.さらに,長らくペンディングされていた査読も2編終了.残りは長い論文の査読が1件と,共同研究で目を通すように頼まれていたのにペンディング中のものが二つ.早くしなきゃ…
 
 
 
◆そういえば,今年の10月に刊行予定ということで,某本の担当章の初校ゲラが先週届きました.ボクは9章と11章を担当してるんですが,11章のゲラは図が全て違う順番で挿入されていました….
_| ̄|○
 
 図の説明は全て順番通りに正しく挿入されていたので,おそらく原図のファイル名を「図1」とかにしていたのが,作業途中で分からなくなったのかなぁ,と…

 ちなみに,せっかくなので関連する研究をしている学生君に両章を読ませてみましたが,やや理屈っぽい9章は難しかったようです.しかし,実例を集めた11章は読みやすかったようですね.難しいことを難しく書いて頭の良いふりをするのはキライなので,子どもでも読めるけれど内容のあるものになってるのが理想なんだけど……
 
 
 
◆今日見つけたオンライン記事

カワアナゴ、琵琶湖で初捕獲…滋賀
観賞魚逃がす?滋賀県水産試験場「放流やめて」


 観賞魚の放逐も外来種問題となるわけですが,カワアナゴも? 確かに,観賞魚起原も考えられるんですが,滋賀県はウナギの放流もおこなっているので,汽水性や通し回遊性のハゼ類については幼魚がウナギ種苗に混入する可能性もありそうな気がします.

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2009.07.21

分岐年代の推定2

先日メダカの分岐年代推定は間違っているのではないか? ということを書いたわけですが,あの説明だけでは本当は不十分なのは重々承知なんですよね.系統樹を使って較正点を複数置くことのメリットはちゃんとあって,下のような較正点の配置があれば,古い較正点でも短い時間あたりの進化速度が推定できることになっているんだと思います.
 
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 しかし,この場合の分岐点と分岐点の間の時間が,仮に判明していたとしても,その間の塩基置換の量を正確に推定するのは難しいと思うわけです.

 また性懲りもなく,10年以上前に距離法とか最尤法とかの議論がなされていた頃のような図を書いてみます.
 
1
 
 
 この場合,一定のペースで塩基置換が蓄積し続けていった場合が緑色の直線.実際に観察されるのが青色の曲線です.

 一定のペースで塩基置換が蓄積できないのは自明であって,機能的な遺伝子であれば,その機能を維持する上で変化できない部分があるから,種間でどれほど違っても数十%程度の違いしか生じません.全く機能がなかったとしても,塩基はGATCの4種類しかありませんから,ランダムな配列を比べても1/4くらいは一致するので100%違う塩基配列というのはありません.
 しかし,1%/100万年で塩基置換が蓄積していったとすると,1億年で100%違うことになってしまうし,2億年で200%違うことになってしまいます(図の緑直線).そんなことはありえないので,塩基置換の数は早々に頭打ちになります(図の青曲線).

 したがって,例えば8000万年前の分岐点と9000万年前の分岐点の間の塩基置換数は,実際に観察される量としては,本来生じる塩基置換数よりもはるかに少なくなります(上図参照).その差を埋めるために,複雑な塩基置換モデルを用いて最尤推定をおこなうのですが,その時に,古い較正点だけでは不十分ではないのか,と思うわけです.
 
 
 それにしても,こういう分岐年代推定の良し悪しを,もっと理論面から適切に議論できると良いのですが,Theoreticalな研究は苦手なんですよね…
 
 ということで,Empirical研究者としては,古い時代しかない化石に頼らずに,説得力のある地形変化とかのイベントを利用して種内系統地理の年代較正点が得られないかなぁ,と考え中.

 オガサワラヨシノボリのmtDNAが他地域から隔離されたのは,小笠原諸島が陸化して淡水魚が生息できるようになって以降だろうというのは,それなりに良い較正点だと思うんですけどね.推定される分子進化速度が,かなり早くなるけれど,多重置換が蓄積し始めるまでの進化速度は,早くても変じゃないと思いますし.他にも,もうあと数点の較正点があればなぁ…
 
 
 ちなみに,メダカの話でもう一つ.

 日本列島の形成とかに関しては,生物の地理的分断が生じそうなイベントはたくさんあります.だから,どんな年代推定であっても,大抵は説明可能なイベントが出てきます.それゆえに,よーく考えて議論しなければいけないと思うのですよ,ボクは.

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2009.07.18

メダカの分岐年代【批判的意見です】

2009年7月15日のアサヒより
南北日本のメダカ、見た目より遠縁 1800万年前分岐


元論文はこちら
Davin H. E. Setiamarga, Masaki Miya, Yusuke Yamanoue, Yoichiro Azuma, Jun G. Inoue, Naoya B. Ishiguro, Kohji Mabuchi and Mutsumi Nishida. Divergence time of the two regional medaka populations in Japan as a new time scale for comparative genomics of vertebrates. Biology letters, in press (doi:10.1098/rsbl.2009.0419)


◆世話になった方々の論文なので批判的なことを書くのは気が引けるのだけど,でも,やはり,違うだろうと思うところは,ちゃんと書き残しておくべきかな,と思った次第です.

◆さて,上記の論文のウリは,メダカの北日本集団と南日本集団の分岐年代が,これまで考えられていたよりも,ずっとずっと古いという推定値が出たところにあります.

 以前の北日本メダカと南日本メダカの分岐年代の推定値は,アロザイム分析の時は200〜300万年,mtDNAのCyt b遺伝子などを使っていたときは約400-500万年,今回のmtDNA全塩基配列を使った場合は1800万年ということになっています.

 また,アロザイムとCyt b遺伝子の時の分岐年代推定は,他の生物で推定されていた分子進化速度を単純に適用しています.しかし,この論文ではさまざまな魚類を含めた系統樹を推定し,その系統樹上で化石記録から分岐年代が推定できる較正点を27箇所設定し,系統樹の各分岐点の年代を推定したものです.

 塩基配列の長さ(データ量)も圧倒的に多いし,系統樹に較正点を多数置いてベイズ推定するという手法も近年の新しい方法なので,いかにも最新のデータ,最新の手法でやりました!っていう感じが満載です.


 でも,しかし!

 元論文を見ると,較正点が全部古い年代のものばかりです.一番年代の新しいもので9000万年くらいです.そうすると,いくら較正点が多くても,それはおよそ1億年より古い時代の分岐年代推定の精度を高めているだけじゃないのかという気がします.

 模式的に描くと↓こんな感じ.
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 原点と較正点の間をスムーズにつなぐように塩基置換率と分岐年代の関係を表したのが赤い曲線です.一方,これまでに分子進化をかじったことがある人ならおなじみの,急激に塩基置換が蓄積して,その後にゆるやかに塩基置換が増えていくのが青い曲線です.

 ボクは分岐年代のベイズ推定には詳しくないので誤解があるのかもしれませんが,古い較正点のみ使ったときに,原点に近いあたりの(分岐年代の新しい種間の)塩基置換パターンが赤色と青色の,どちらのカーブに近いのか,正確に推定できるのでしょうか?

 たぶん,古い較正点のみの時は,新しい時代の部分は未知なので,較正点のある領域からスムーズに原点につながるような塩基置換モデルが選択されるでしょう.急激な塩基置換の蓄積は,経験的なイメージとして存在していても,使用するデータセットの中では「どれくらい急激な塩基置換の増加なのか」を決定するデータが無いからです.

 したがって,おそらくメダカの古い分岐年代は,この模式図の赤色曲線から推定された値(のようなもの)ではないかと思います(上図の推定分岐年代1).

 一方,これまでの推定値について考えてみます.北日本と南日本のメダカのこれまでの分岐年代の推定値は,近縁種や種内地域集団間の地理的分断をもとに推定された分子進化速度を適用しています.つまり,もともと分岐の新しいものを対象に推定された分子進化速度であり,上の模式図の中では,青色曲線の原点に近い傾きの急な部分を使った推定値のようなものです(上図の推定分岐年代2).

 このように考えると,いくら「最新」の手法であったとしても,「南北メダカの分岐が1800万年」というのは,現時点では信頼できない値だと思います.ようするに,近縁な種の分岐年代を推定したいなら,推定したい分岐点を挟むような年代に較正点をおかないとダメじゃないか,と思うわけです.

 特に,500万年くらいの時間スケールと比べれば,今回の較正点の9000万年〜4億年というのは,約20倍から800倍も長い時間スケールです.喩えるなら,100km単位まではだいたい正確に描かれている4000km四方の地図(日本地図をやや周辺まで含めたくらい)の中で,ある2地点間の距離が5kmなのか20kmなのか判断しようとしているといったところでしょうか.描線の太さだけですぐに違ってきそうです.5kmや10kmの距離のものを調べたいなら,都道府県の地図とか市町村の地図を探した方が良いでしょう.

 他にも,この論文の論理展開とかが,ものすごく確証バイアスがかかっていて,ちょっと……と思うのですが,いずれにしても,あの分岐年代推定は間違っているのではないか,と思うならば,自分で新しい年代の較正点を使った論文を書くしかないでしょうね….

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2009.07.12

やっと回復,しかし…

P6202174_2
↑何の写真が無いのは寂しいので,先月のクエストの時に胴長はいて歩きながら手だけ水中に入れて撮影したカワヨシノボリ.撮影したときは中央の1尾しか気付かなかったんですが,こんなに…
 
 
 
 先週末にGORI研究会をおこなって,深酒した後に翌日は別件で名古屋へ.そちらであった友人が言うには,一見して疲れていたそうな…

 さて,研究会とか開催するとさすがに疲弊するのですが,さらに月曜日にもストレスな用事が昼に1件あり,火曜日には,自分の学部の1年生に新型インフルエンザ感染者が発生したために,自分が教養セミナーで受け持っている1年生に登校停止の連絡をしたりしておりました.その後は,魚類学会の時におこなわれる公開シンポのコンビーナーなので,講演者の皆様にいろいろメールしたり要旨を取りまとめたり…

 で,そうこうするうちに読まねばならない査読原稿も増える一方で,へとへとだったのですが(そのわりに作業は進んでいない),この土日に充分寝るようにしたので,ようやく体力が回復しました.

 で,日曜日の夜に,学生に見られるとマズイ仕事をしているのですが… 一番見られるとマズイものは,なんとか終わったかな.

 今週も,いろいろあるし,査読原稿の山も全然減ってないので,まだまだ辛いなぁ.多少は楽になるまでには,あと10日くらいかかるか…
(*´・д・)=3

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2009.07.01

賽の河原か,わんこそばか

P70122601
↑大頭一族
 
 
 
◆今朝の1限も動物生態学の講義.ボクが講義するときには,しばしば適当に魚や鳥の絵を描くのですが,それなりに味がある絵なので微妙に人気があったりするとかいう説もあるようです.

 上は,昼休みに学生君たちとハシビロコウの話になったので,こーゆー鳥だろ,といってボクが書いた図.最初は,ちょっとイマイチだったんですが,ネットで写真を見てアホ毛をつけたら,実にイイ感じにgood 

 「大頭」「アホ毛」「動きが遅い」「魚食」「仲間と群れない」など,親近感のある鳥だよな〜,ホントに.
 
 
 
◆さて,それはともかく,昨日の締切に間に合わない書き物は,結局本日に持ち越しまして,会議や学生のGORI研の発表練習の合間と,それらが終わった後に何とか仕上げました…

 で,だいぶんシゴトが片づいたかなぁ,と思うと,査読を先週から今週にかけて2つほど済ませて,残りがちょっとのはずだったのに,また2編依頼が…

 まさに賽の河原か,わんこそばか,といったところです
_ノフ○ グッタリ

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