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July 2005

2005.07.30

DNA複製

この金曜日(7/29)で大学の前期授業は終わり! やっと苦行からしばらく開放されます(笑)

とりあえず今年の前期は金曜日一限に生物学の授業をしていたのですけど,振り返ってみるとまだまだ反省点は多いなぁ・・・まぁ,毎回授業の終わりに書いてもらっている質問・感想用紙をみると概ね好評らしいのですが.

 内容的には,結構広く浅く話したのだけど,シグナル伝達・がん遺伝子・遺伝子組み換え・進化といった高校生物では割愛されがちなところの概略をそれなりに説明できたと思ってます.特に進化については,いきなり自然淘汰をメインで話すのではなく,その前にDNAの話をしておいたので,DNAの複製エラーで生じる生存・繁殖に有利でも不利でもない変異が一定の確率(1/N)で子孫世代に広がるという「中立説」的な説明から入るようにしています.その上で,その変異が生存に有利なら子孫に広がる確率が上がるし,生存に不利なら子孫に広がる確率が下がるから,そうした確率に影響を及ぼすものを淘汰と呼ぶのだよ,といって説明してます.

 あと,がん遺伝子の説明なんかもDNA損傷による変異が原因ということで説明しているのですが,こうした「進化」や「がん」のもとになるDNA複製については,実はあんまり説明してなかったりします.やはり,自分自身が詳しくない領域だということと,酵素の名前などがたくさん出てくると暗記科目っぽくなって,脱落する学生が多そうなので敬遠してたわけです.

 しかし,最近出た講談社のブルーバックスで「DNA複製の謎に迫る」というのを読んでみたところ,ちょうどぼくがブラックボックスとしていた部分を的確に解説している本でした.しかも,がんや進化の元になる変異の創出機構としてのDNA複製エラーという位置づけをはっきりさせているので,その点でも気持ち的にしっくりくるものでした.

 実際の本の内容としては,さまざまなDNAポリメラーゼの働きでDNAが複製され,複製ミスを修復する,あるいは修復せずにそのまま複製を進行させる機構がわかりやすく説明されています.

 ぼくも魚のDNA解析はいつもやっているので,DNAポリメラーゼは研究室に常備して実験に使っていますが,実際の体内で使われているポリメラーゼの種類やそれぞれの働きについて全然知らなかったことを思い知らされて,ちょっと目から鱗が落ちたような気がします.

 あと,この本が読みやすかったのは,もちろん著者の力量なのだと思うのですが,あとがきを見ると非常に多彩な分野の人に原稿を見せて意見をもらって,読みやすい本にする努力をかなり払っているようです.その辺も本当にすばらしい(っていうか,見習わねば・・・)ですね.ちなみに,著者の奥さんは大学院で魚の研究をしてた人だそうです.本の内容とは全く関係ないけど,何の魚を研究してた人なのか,微妙に気になります(笑).

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2005.07.26

観賞魚

ちょっと仕事上必要なことがあって,平易で一般的な環境問題の英文を探していたら,次のようなものを見つけました.

Freed Pet Fish Threaten Native Species, Study Says
John Pickrell
for National Geographic News, June 1, 2004

National Geographic Onlineの過去記事なんですが,観賞用の海水魚の放逐が米国沿岸の生物相を変えているというものです.フロリダ州南東部の32カ所から16種の非在来海水魚が発見されているということで,バラスト水が運ばれるような船のルートからは考えにくいから観賞魚由来と思われるとのこと.

 米国的には,観賞魚輸入は途上国の経済的発展に有用という論調があるらしいのですが,この記事では,そうした観賞魚が別の場所で自然破壊を引き起こすのだということを論じています.

 ただ,この記事自体は良いのですが,最後の結論で,観賞魚の放逐対策としては市民への教育が重要で,その次に低リスクな種を明らかにすることだと書かれており,あくまでも観賞魚の輸入は前提のようだから,なんか日本とは論調が違うなぁ,と思って調べてみたところ,なんとアメリカ合衆国は生物多様性条約に批准してないんですよね.

 合衆国は生物多様性条約も京都議定書(CO2削減)もカルタヘナ議定書(遺伝子組換え生物の規制)も批准してませんけど,アメリカの正義って,本当に自国の利益を守ることだけなのかなぁ,と思ったりして・・・
(´・ω・`)

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