« ブラックバスがいじめられるホントの理由 | Main | 日本に魚は何種いるのか »

ブラックバス汚染

「警告! ますます広がるブラックバス汚染」 秋月岩魚・半沢裕子著 宝島社271pp.


 先に読んだ「ブラックバスがいじめられるホントの理由」があまりにもちょっとアレな内容だったので,口直しに読んだのだが,ぼく自身が感じていることと極めて相通じるものがあってうれしくなった.

 なんといっても,導入部でバス擁護論の問題点をさらりと書いて批判しているのだが,ぼくがこのウェブログで「ブラックバスがいじめられるホントの理由」の問題点として指摘した内容と,あまりにも一致するので,読んでて不思議な感じがして,妙におかしかった(笑).

 結局,秋月氏もぼくも,自然そのものに価値(=人間にとっての価値でもある)を見出し,尊重しようとする立場であることや,自分たちの快楽のためだけに貴重な資源であり歴史的価値のある在来生態系を破壊するバス釣り人を批判するとなれば同じことを主張することになるのだろう.

 とりあえず,内容的には,同じ著者の「ブラックバスがメダカを食う」(宝島社)の続編にあたるのだが,生物多様性条約批准に伴って,行政的にも,また世論も外来種NO!となりつつあることがレポートされていて,うれしく思える反面,なんとか巻き返しをはかろうと政治的に暗躍する日本釣振興会の姿が記されていて恐ろしくもある.

 また,バス釣り推進を熱心に進めるつり人社(社長が日釣振の理事でもある)の活動の問題点の指摘にも多くのページを費やしている.ぼく自身が,某埋め立て事業反対に関してつり人社に協力したこともあり,その辺の指摘は胸が痛い.なぜなら,そのときぼくが協力した人たちが,バス問題関連の討論会で野次を飛ばすなどのことをして,非道義的な行為をしているからでもある.

 彼らに悪気がないことは想像がつくし,つり人社の現社長も,決して,金の儲けのために自然を破壊したいと積極的に思っているわけではないことも知っている.しかし,考えが間違っていると思う.

 ぼくが,直接話した限りにおいては,バス釣りで多くの人の関心を水辺に向けたいと社長は言う.同じような主張を生態学琵琶湖賞を受賞した某陸水研究者の方が主張していたのも知っている.だが,何もいろいろな生物の絶滅リスクを挙げるバス釣りを手段に選ばなくてもいいじゃないか!

 そうした権力を持ち,政治的な働きかけに積極的な人たちが,さまざまな生き物がいることのすばらしさ,重要性を理解してくれない以上,まだまだ戦わざるを得ないのは,悲しい現実である.

 また,つり人社が環境保全運動を支援するがゆえに,その支援を受けた人がバス問題に対して沈黙してしまうことがあると,秋月氏は本書で指摘する.ぼくは,支援を受けたのではなく,協力した方だし,そのときも心の中で呉越同舟呉越同舟・・・とつぶやきながら行動していたくらいなので,決して手を組んだことがあるからといってバス問題について批判をためらったりはしない.

 支援を受けたために,沈黙しているのが誰なのか,ぼくは存じ上げないが,そうした人たちが,本気でブラックバスを日本に定着させたいと思うのでなければ,義理に背いてでも,正しいと思うことを発言し,行動して欲しい.

 少なくとも,日本からブラックバスを排斥しても,同じ種類の魚は米国で,本来彼らが属すべき生態系の中で生活し,スポーツフィッシングも堂々とおこなわれているのである.そのことに何の問題もないし,むしろ良いことである.

 しかし,日本にブラックバスをはびこらせて,絶滅した生物がいれば,それは二度と再び,どれだけ多くの人が願おうとも再生不可能なのである.絶滅=完全な消滅であり,取り返しのつかないことなのを,どうか少しでも多くの人に理解して欲しいと,あらためて感じるのである・・・・

|

« ブラックバスがいじめられるホントの理由 | Main | 日本に魚は何種いるのか »

Comments

 え〜っと,この本についても青柳氏とその仲間による批判的書評がゼゼラノート(http://www.zezera.com/ )に書かれてますが,なんかくだらない揚げ足取りばかりで,読んでもつまらなかったです.と学会を意識したようなおもしろおかしい読み方をしているつもりのようだが,成功しているようには見えないなぁ.どっちにしても,外来生物でも金になればOK,金にならん生き物が絶滅することに具体的な(経済的?)理由をつけない限り納得しない,という立場なんですな.そういう立場からの発言を,客観的で多数派の正論としてふりまわすのは,どうだろうか?

Posted by: 極楽ドンコ | 2003.12.17 at 04:20 PM

私の住んでいる多摩川でも小魚が減ってきています。1年、2年で成熟する動きの速い魚、稚魚の越冬の場所が浅瀬などで他の魚におそわれにくい魚はまあまあなのですが、3年以上の寿命を持つ成長の遅い魚(フナ、など)動きの遅い魚(ヨシノボリ、ツチフキなど)は確実に減っています。水はきれいになってきているのにどうして小魚が減るのでしょうか。大きくなってから放流されたりしている大型のコイやヘラブナなどは食べられることが少ないのか、寿命のためか多いです(でも一時期見られたような、小さな物から大型の物までというバランスはなくなってきています)。いつか大型の物もいなくなりそうです。そして近年、ブラックバスの稚魚やブルーギルの稚魚がたも網によくかかります。浅瀬に乗り上げたブラックバスの50㎝くらいの成魚を2匹捕まえたこともあります。個人の趣味の範囲でのフィッシィングは大いに賛成です。私自身、少年期はつりが大好きで毎日でもやりたかったこともあります。でも他人(他魚?)に迷惑をかけてまですることは正しいスポーツとはいえないのではないかと思っています。ましてやこっそり夜陰に乗じてバスなどを放流するなど、まさに犯罪といって良いのではないでしょうか。

Posted by: ぼんさいさん | 2003.12.21 at 04:05 PM

上の自分の書き込み,我ながらイマイチ要点を得ない記述があったので,その部分を削除修整しておきました.

Posted by: 極楽ドンコ | 2004.01.16 at 12:48 PM

前提として、別に、文句を付けるつもりは無いです。

僕も多摩川で年間100回前後、釣りをします。
で、多摩川は今、鮎の放流をしていますね。多摩川にバス&ギルが入った理由の中に、放流鮎に混じって入ったと言う事は、無いのでしょうか?
また、現状を見ている限り、バスが原因で、絶滅する なんて事は多摩川では無いと思いますが・・・・
また、種の保存と言う意味では、交雑する危険があるので、鯉や鮎、ヘラブナ、それらに混ざって入ってくる魚などの移入種も問題だと思うのですが・・・
ただ悲しい事として、僕も密放流を見てしまいました。この様な事は悲しい限りです。ただしバス釣り愛好家が全てこの様だとは、決して思わないでください。

Posted by: 釣り愛好家 | 2004.01.16 at 03:48 PM

>ぼんさいさん
 ずっと前にコメントいただいてから,何も返事を書かずにいてすいません.

>釣り愛好家さん
 ブラックバスを釣っておられる方でも,他の淡水魚にも興味があって,そうした魚類に影響が無い範囲なら・・・と穏やかに考えていてくださる方も多いと思います.ただ,表面に出てくるバス釣り人の方々には,非常にラジカルな人も多いので,どうしても,ぼくの意見も必要以上に攻撃的になっているのかもしれません.その点で,申し訳なく思います.
 ただ,多摩川本流では,他魚種を絶滅させることはなくても,そこから近隣の野池に放す人がいるかもしれません.そうした場所に,わずかに残った東京都の平野部産ジュズカケハゼや,まだ記載されていないから一般に知られていない新種の魚がいたら,それらは,その地域では絶滅するかもしれません.埼玉・栃木などに持っていって,ミヤコタナゴなどのいる池に放す人もいるかもしれません.そうしたことが無いとはいえないから,「完全駆除」という目標が出てくるんです・・・.
 なお琵琶湖産アユへの混入については,「ブラックバスがいじめられるホントの理由」の書評のコメントに書いておいたので御参照下さい.また,近年は地元の河川産アユを養殖して放流しているケースも多く,最近は多摩川への天然アユの遡上も増えつつあることから,アユ放流の問題は,多少なりとも軽減しつつあるかもしれません.

Posted by: 極楽ドンコ | 2004.01.16 at 06:00 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/5018/30803

Listed below are links to weblogs that reference ブラックバス汚染:

« ブラックバスがいじめられるホントの理由 | Main | 日本に魚は何種いるのか »