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2003.12.17

ブラックバス汚染

「警告! ますます広がるブラックバス汚染」 秋月岩魚・半沢裕子著 宝島社271pp.


 先に読んだ「ブラックバスがいじめられるホントの理由」があまりにもちょっとアレな内容だったので,口直しに読んだのだが,ぼく自身が感じていることと極めて相通じるものがあってうれしくなった.

 なんといっても,導入部でバス擁護論の問題点をさらりと書いて批判しているのだが,ぼくがこのウェブログで「ブラックバスがいじめられるホントの理由」の問題点として指摘した内容と,あまりにも一致するので,読んでて不思議な感じがして,妙におかしかった(笑).

 結局,秋月氏もぼくも,自然そのものに価値(=人間にとっての価値でもある)を見出し,尊重しようとする立場であることや,自分たちの快楽のためだけに貴重な資源であり歴史的価値のある在来生態系を破壊するバス釣り人を批判するとなれば同じことを主張することになるのだろう.

 とりあえず,内容的には,同じ著者の「ブラックバスがメダカを食う」(宝島社)の続編にあたるのだが,生物多様性条約批准に伴って,行政的にも,また世論も外来種NO!となりつつあることがレポートされていて,うれしく思える反面,なんとか巻き返しをはかろうと政治的に暗躍する日本釣振興会の姿が記されていて恐ろしくもある.

 また,バス釣り推進を熱心に進めるつり人社(社長が日釣振の理事でもある)の活動の問題点の指摘にも多くのページを費やしている.ぼく自身が,某埋め立て事業反対に関してつり人社に協力したこともあり,その辺の指摘は胸が痛い.なぜなら,そのときぼくが協力した人たちが,バス問題関連の討論会で野次を飛ばすなどのことをして,非道義的な行為をしているからでもある.

 彼らに悪気がないことは想像がつくし,つり人社の現社長も,決して,金の儲けのために自然を破壊したいと積極的に思っているわけではないことも知っている.しかし,考えが間違っていると思う.

 ぼくが,直接話した限りにおいては,バス釣りで多くの人の関心を水辺に向けたいと社長は言う.同じような主張を生態学琵琶湖賞を受賞した某陸水研究者の方が主張していたのも知っている.だが,何もいろいろな生物の絶滅リスクを挙げるバス釣りを手段に選ばなくてもいいじゃないか!

 そうした権力を持ち,政治的な働きかけに積極的な人たちが,さまざまな生き物がいることのすばらしさ,重要性を理解してくれない以上,まだまだ戦わざるを得ないのは,悲しい現実である.

 また,つり人社が環境保全運動を支援するがゆえに,その支援を受けた人がバス問題に対して沈黙してしまうことがあると,秋月氏は本書で指摘する.ぼくは,支援を受けたのではなく,協力した方だし,そのときも心の中で呉越同舟呉越同舟・・・とつぶやきながら行動していたくらいなので,決して手を組んだことがあるからといってバス問題について批判をためらったりはしない.

 支援を受けたために,沈黙しているのが誰なのか,ぼくは存じ上げないが,そうした人たちが,本気でブラックバスを日本に定着させたいと思うのでなければ,義理に背いてでも,正しいと思うことを発言し,行動して欲しい.

 少なくとも,日本からブラックバスを排斥しても,同じ種類の魚は米国で,本来彼らが属すべき生態系の中で生活し,スポーツフィッシングも堂々とおこなわれているのである.そのことに何の問題もないし,むしろ良いことである.

 しかし,日本にブラックバスをはびこらせて,絶滅した生物がいれば,それは二度と再び,どれだけ多くの人が願おうとも再生不可能なのである.絶滅=完全な消滅であり,取り返しのつかないことなのを,どうか少しでも多くの人に理解して欲しいと,あらためて感じるのである・・・・

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