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2003.12.13

ルポ・日本の生物多様性

2003/04/03 に自分のサイトの掲示板に書いたものの採録です.

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 最近,いろいろな本を買い込んでます.その中で,地人書館から最近発売された「ルポ・日本の生物多様性」(平山剛士著)という本を読みました.同様な趣旨の国際版として「レッドデータの行方」(Newton Press)という本があり,そちらも非常にオススメできるのですが,「ルポ・日本の生物多様性」は日本国内の事例を非常に読みやすく簡潔にまとめたものでした.結構勧められるような気がしたので,以下に,目次を転載して,感想を少しだけ書いてみます.まずは目次から.
【目次】
ルポ1 海鳥を大量死させているのはだれ? 〜水産大国ニッポンが抱える混獲問題
ルポ2 ジュゴンは軍隊と共存できない 〜基地建設に揺れる「北限の生息地」
ルポ3 あなたもなれる! カヤネズミ調査員 〜生物多様性保全のための環境教育とは?
ルポ4 古代湖を侵入種から守る 〜バス・ギル駆除と再放流禁止条例
ルポ5 五〇年前の川を取り戻せ 〜自然再生技術の確立をめざす
ルポ6 ディアハンターは鹿を絶やさない 〜野生動物保護管理の成果と課題
ルポ7 クワガタムシ・カブトムシ輸入超大国ニッポン 〜在来種に迫る「遺伝子汚染」危機
ルポ8 猛獣マネジメントいたします 〜自己防衛と春期捕獲に託すクマとの共存
ルポ9 「オミヤゲ盗掘」から高山植物を守る 〜入山規制が拓く「花の山」との新しいつき合い方
ルポ10 移入種大国から環境立国へ 〜目標は「持続可能な利用」

 さて,では次に感想を.

 この「ルポ・日本の生物多様性」は,それぞれに異なる要因に基づく生物多様性の危機を伝えており,さまざまな問題があることを知るのに役立ちます.多少なりとも希望の光が見えるのはルポ6・8・9あたりでしょうか?

 魚好きとしては,ルポ4の琵琶湖問題,ルポ5のイトウの住む川の再生が気になるところですが,ルポ4は,個人的には突っ込み不足のような気がしました.しかし,琵琶湖の外来種再放流禁止条例に関しては,極めて速報性の高い部分であり,突っ込み不足はやむをえないといえるかもしれません.

 また,ルポ8のヒグマの話で出てきた,「ウェンカムイ」という言葉は,妙に心に引っかかりました.ヒグマはアイヌ語で「キムンカムイ」(山の神)と呼ばれるのですが,人を襲うことを知ったクマは「ウェンカムイ」(悪い神)と呼ばれて忌み嫌われるそうです.ウェンカムイをアイヌがどのように考えていたかの説明を本文から抜き出してみます.

『一度でも人を傷つけたクマは「ウェンカムイ」となり,次々に人を襲い続ける.それは,人を食べてはならないというタブーを破ったクマに神様が怒って,もうほかのものは何も食べられないように罰を下すからだ』

 現代人は,苦労せずに食物を得ることを覚えてしまったがゆえに自然を食いつぶす「ウェンカムイ」ではないのか,というのがこの文章を読んで,ぼくが思ったことです.自然への尊敬をなくし,野生に戻れなくなってしまったために,自然を破壊し続ける現代人こそ「ウェンカムイ」ではないのか,と.

 一度ウェンカムイとなってしまった我々が,再び自然の多様な生物と共存できるようになれるのでしょうか? この本の中に記された利権や安易な行為のもたらす破壊を食い止めるには,法なり個々人の考え方なりによる「自制」が最も重要なのですが・・・

 ちなみに,この本は著者の平山氏のサイトから著者割り価格で購入できるようです.
 平山氏のサイト:http://homepage1.nifty.com/hiratatuyosi/index.html

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